ずっと真夜中でいいのに。「綺羅キラー」で見せる鮮やかな“更新” Mori Calliopeとのコラボでこそ生まれたカタルシス

 現在、ずっと真夜中でいいのに。ほどのハイペースで新しい曲を世に送り出し続け、それら新しい曲が過去の曲を更新し続けている音楽ユニットが他にいるだろうか? ここで言う「更新」というのは、ありがちなレトリックとしての表現の中身についてだけでない。2018年に「秒針を噛む」でこれ以上ないほど鮮烈なデビューを飾り、その後も「勘冴えて悔しいわ」(2019年)、「お勉強しといてよ」(2020年)など、作品をリリースするたびにファンから熱狂的に支持される代表曲を送り出してきたずとまよ。しかし、たとえば先日ツアーファイナルを迎えたばかりの『GAME CENTER TOUR「テクノプア」』の現場におけるオーディエンスのリアクションにおいて、あるいはストリーミングサービスの人気曲ランキングにおいて、目に見えるかたちで常に新しい曲が過去の代表曲の数々を、次々に、軽々と、追い抜いてきた。

 すでに2022年のSpotify Holiday CMソングでテレビを通して耳にした方も多いことだろう、そんなずとまよが最新のピークを刻んでいるのが、12月15日に配信リリースされたニューソング「綺羅キラー (feat. Mori Calliope)」だ。これまでACAね名義では「Character」(2021年)でRin音、Yaffleと、つい最近も「青く青く光る  feat. ACAね(ずっと真夜中でいいのに。), ぬゆり」(2022年)でLanndo、ぬゆりと実り多きコラボレーションをおこなってきたが、今回の「綺羅キラー」はずとまよとして初めて他のアーティストをフィーチャリングとして迎えた楽曲。そのアーティストは、ちょうど同日の12月15日にメジャー1stアルバム『SINDERELLA』をリリースしたばかりのVTuber/ラッパーのMori Calliopeだ。

ACAね(ずっと真夜中でいいのに。) × Rin音 Prod by Yaffle 『Character』MV
Lanndo feat.ACAね(ずっと真夜中でいいのに。),ぬゆり「青く青く光る」MV

 217万人以上の登録者数(2022年12月末現在)を誇るYouTubeチャンネルに寄せられている英語圏からの膨大なコメントからも一目瞭然なように、VTuberとしての特性を最大限に活かして世界的な人気を誇っているMori Calliope。『SINDERELLA』の収録曲ではプロデューサーに国内トップラッパーの一人であるJP THE WAVYを迎えるなど、よりオーセンティックなトラップミュージックへのアプローチも見せていたが、「綺羅キラー」はずとまよの楽曲としても異例なほど歪んだギターサウンドが前面に出た、いわば「ロックミュージック度」が高い楽曲。まず、その時点で意表を突かれたリスナーも多いのではないか。

[ORIGINAL SONG] I'm Greedy - Mori Calliope

 Mori CalliopeとACAねはお互いのライブに足を運び合うなど、単に異色のコラボレーションというだけでなく、双方の音楽性への理解度が非常に高い関係にある。「英語と日本語教え合えたり初めて他の方のボーカルディレクションもできてすごく勉強になった」(※1)というACAねのツイートからもわかるように、今回の「綺羅キラー」ではACAねがリードするかたちで、Mori Calliopeの特異なラップスキルをずとまよの作品世界に融合させていったことが窺える。

ずっと真夜中でいいのに。『綺羅キラー (feat. Mori Calliope)』MV (ZUTOMAYO – Kira Killer)

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