特別なことをしない日が、特別な日

　また、朝の運動とともに並ぶのは「ギター」の文字。午後のスケジュールでも出かけたいところとして「ギターショップ」を挙げる。さらには夕飯後の就寝までの時間に映画やドラマ鑑賞をしつつ「ギターを触る」と続く。自分で弾くだけでなく、ギターショップの店員との会話や愛用ギターのメンテナンス、そして敬愛する斉藤和義をはじめとしたレジェンドギタリストたちの名曲を鑑賞するなど、ギターにまつわるやりたいことが次々に出てくるのだ。

　それほどまでギター愛にあふれる草彅だが「なんでこんなやってんのに俺うまくねぇんだろうな」と笑いを誘うところも、またご愛嬌。もしかしたら「なかなかうまくならない」と嘆くぐらい、時間をかけて上達するほうが長く趣味を楽しめるコツなのかもしれない。

　先述したコーヒー豆についても、長年“相棒”として番組を共にしてきたユースケ・サンタマリアのほうが詳しいようなのだが、「LINEでもしようかなと思って“ま、別にいいや”と思ってしなかったんだけど（笑）」と、まだコーヒートークはしていないようだ。回り道をしてでも自力でじっくりと楽しみたい、そんな思いの表れだったのかもしれない。そこに、一時的なブームで終わらない、ライフワークと呼べる趣味の見つけ方がありそうだ。

　と、ここまで「“理想の”休日」と言ってスケジュールを組み立ててきたが、「かなりリアルだね」とポツリ。非日常を楽しむのではなく、いつも通りの習慣を楽しむということ。「そんな特別な日常じゃないことが、僕にとっては特別……いいこと言うね、なんかね」と照れながらも、「平凡な1日が何よりの幸せかもしれません」とまとめた。

　当たり前に思える光景も幸せに感じられるからこそ、アイドルとして多くの人に元気を届けられる。日々の小さな営みを大切にできるからこそ、俳優として説得力のある演技ができる。そんな草彅剛が発信する、2023年の新たな作品がますます楽しみになった。