BROCKHAMPTON、多様なルーツを持つ“ボーイバンド”として掴んだスターダム ラストアルバムに至るまでの歩みを振り返る
そんなBROCKHAMPTONだが、ケビン・アブストラクトは解散理由として「俺たちはみんなお互いを愛しているし、常に最高の音楽を作り続けたい。ただ、みんな歳をとって、グループの外で表現したいことがある。10年間、一緒に音楽を作ることに捧げてきた」と発言しており(※3)、解散後は各々がソロで活動を行うようだ。また、メンバーのロミル・ヘンナーニも「みんなが自由に羽を広げるときがきたんだ。グループにいるのは好きだけど、もちろん妥協もある。そして誰もが妥協なしで自分がやりたいことをやる機会を与えられるべきなんだ」とコメントしている(※4)。
『The Family』では、初期カニエ・ウェスト、ジャスト・ブレイズ、そしてWu-Tang ClanのRZAに影響されたような、ソウルサンプルをふんだんに使用したヒップホップトラックを聴くことができる。特にカニエ・ウェストが世に広めたソウル曲のピッチを上げてサンプリングする手法“チップマンク・ソウル”スタイルの曲が多数収録されており、BROCKHAMPTONがカニエ・ウェストのファンフォーラムで結成されたという意味でも感慨深いサウンドになっている。実際に楽曲「RZA」からのリリックではメンバー同士の関係性や、今までの軌跡などが語られている。
「お別れのギフト」として『The Family』の翌日にリリースされた『TM』は、2021年に行われた2週間に及ぶレコーディングセッションで制作されたが、未完成であった曲が収録されている。サウンドとしては今までのBROCKHAMPTONらしさが感じられ、彼らをメインストリームに押し上げたサウンドを聴くことができる。
※1:https://www.billboard.com/pro/brockhampton-rca-record-deal-worth-15-million/
※2:https://genius.com/Brockhampton-boogie-lyrics
※3:https://twitter.com/kevinabstract/status/1394676627448098818
※4:https://www.gq.com/story/brockhampton-profile
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