SixTONES、アルバム『声』に溢れるメンバーの歌の魅力 “声”を取り戻す次の時代へ向けた作品に

 SixTONESが2023年1月4日、ニューアルバム『声』を発売する。

 まずこの『声』というアルバムはタイトルの発表の仕方が鮮烈であった。11月12日に公式HPの試聴音源から突如“メンバーのボーカルが抜ける”不具合が発生。そこから少しずつ声が戻り、15日になって完全復旧。その報告とともにアルバムタイトルである『声』も併せて発表されたことで、大きな話題を呼んだのだ。

 声というのは、生体認証に利用されることもあるほど人間の身体的特徴の一つであり、音楽においては最もわかりやすいメンバーの個性の部分である。それゆえ音源がボーカルを、つまり声を取り戻すというこの一連の流れからは、今作のテーマがメンバーたちの個性の獲得なのだと捉えることができる。

 またあるいは、ライブなど多くの場において“声出し”が禁じられたこの時代において、声とは私たちが奪われたものでもある。このアルバムは、私たちが声を取り戻す次の時代へと向けた、世の中の空気を変えるための一枚になるのではないか。

 では実際に、作品から聴こえてくる“声”に耳を傾けてみよう。アルバムはまず「Overture -VOICE-」で幕が開け、続くリード曲「Boom-Pow-Wow!」でこのアルバムは一気にアクセルを踏み出す。エレクトロスウィングとも言うべきビート感の上で、パーティーの始まりを告げるような一曲だ。そしてそのまま流れるようにして底抜けに明るいポップチューン「Good Luck!」へ。三人編成による厚みのあるブラスセクション、モチヅキヤスノリによる煌びやかなピアノの演奏、NulbarichやBREIMENのメンバーであるサトウカツシロによるみずみずしい爽快感のあるカッティングギター。こうした生演奏による粒立ちのよい音によって、アルバムの世界観をカラフルなものへと変えていく。

SixTONES – Boom-Pow-Wow! [YouTube ver.]

 強烈なダブステップ系の「Outrageous」や6thシングル曲「共鳴」といった強力なナンバーを経て、ついに本作のメインの一つ「人人人」が登場。この曲は、ボーカル表現や歌詞内容含め、今のSixTONESにしか出せないものが詰まりに詰まっていると感じる。ステージ上では王者なイメージの彼らも、実は裏では緊張しいな一面を持っている。そんな彼らの二面性を、遊び心のある言葉遣いとグルーヴ感抜群のサウンド、そして特徴的な歌い方によって、風変わりな仕上がりにまとめ上げた一曲だ。

 その後、抑制の効いたダンスナンバー「Risky」やチル系のラップ曲「Chillin' with you」、爽やかなポップチューン「SUBWAY DREAMS」で耳を温めた後に、満を持して飛び出してくるのが、リリースは真冬でも気分は真夏なブチ上げソング「PARTY PEOPLE」。SixTONESと言えば観客も大盛り上がりのライブステージが特徴。メンバーも全員テンションMAXで歌うこの曲は、そんな最高潮の会場が目に浮かぶ。ライブでの声出しが自由に解禁された暁には、この曲で騒ぎたいものだ。

SixTONES – PARTY PEOPLE

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