世界で活躍するガールズグループ増加の背景 国籍を超えたメンバー編成、運営システムが日本国内にも与えた影響

 こうした変化に続いて日韓合同企画の『PRODUCE 48』(2018年)や、日中韓文化圏の参加者を集った『Girls Planet 999:少女祭典』(2021年)、そして後述の『Nizi Project』(2020年)など「グローバル性・超国籍性」が前提となるオーディション番組、ならびにそこから輩出されたグループが日本で人気を博したことも特筆すべきポイントだ。

NiziU 『Make you happy』 M/V

 なかでも、かねがね「韓流文化だからといって必ずしも韓国人が歌う必要はない」「これまでは映画、ドラマ、音楽など韓国のコンテンツを海外に出したが、これからはシステムを輸出しなければならない段階だ」(※2)と語っていた、TWICEやITZYなどを輩出したJYPエンターテインメントのJ.Y. Parkがプロデューサーを務めたオーディション『Nizi Project』とそこから誕生したNiziUは、それまで韓流文化に触れてこなかった層からも大きな支持を集めた。同時に、日本出身メンバーによって構成され日本を活動拠点としながら、韓国の芸能事務所に所属し韓国のクリエイターが制作を担うことから、「日本のグループ」「韓国のグループ」といったカテゴリーがシームレスになっていったのもこの頃からだ。

XG - MASCARA (Official Music Video)

 今年に入るとガールズグループ・XGが、メンバーのステージネームとパフォーマンス映像のみを公開し、所属事務所や各メンバーの国籍を明かさないデビュー形式をとったことで話題を呼んだが、そうした新鮮な試みが生まれてきているのも「グローバル性・超国籍性」を掲げるガールズグループの在り方そのものが、受け手にも認知・受容されつつある現状からだろう。

 また2021年に誕生したIVEが約10カ月、Kep1erそしてLE SSERAFIMはどちらも韓国デビューから約8カ月後に日本デビューを果たしていることなどから、以前と比較すると本国デビューからあまり間を置かず日本で活動を始めるグループが増えつつある。K-POPグループと日本市場との関係構築がさらなる即時性を伴って進められていることは、今後日本のガールズグループシーンへ新たな変化をもたらす鍵となり得るかもしれない。最近でも、LDHとHYBE LABELS JAPAN(BTSなどが所属する芸能プロダクションHYBEの日本本社)による合同プロジェクト『iCON Z Girls Group Audition』の合格者によるグループが始動予定となっている。これからのガールズグループシーンの動向にも注目だ。

※1:https://realsound.jp/2022/05/post-1036666.html
※2:https://japanese.joins.com/JArticle/84746?sectcode=400&servcode=400

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