THE COLLECTORSがリリースを続ける理由 35周年、25枚目のアルバムに込められたバンドとしての信条

THE COLLECTORSは信じたことを続けるだけ

ーー今は日本のロックシーンが経験したことがない状況ですよね。長いキャリアのバンドたちが、ライブハウスで、年間これだけの数のツアーをやり続けている。その筆頭にTHE COLLECTORSがいるわけですけど。

加藤:それは痛いほどわかります。どのバンドもそうなっていくと思う。俺たちの身近なバンドの連中もそうだけど、ただ、みんな、俺より若いからねえ。だって、マーシー(真島昌利)が一歳下で、(甲本)ヒロトが二歳年下だもん。リリースもツアーもずっと続けてるバンドマンで、俺より上って言ったら、THE MODSの森山(達也)さんぐらいだよ?

ーー確かに。

加藤:そこで「どうすればいいんだろう?」っていう明確な答えがない以上、今、自分が感じて、やれることを、きっちりやっていくしかない。やっぱりアルバムを出すことによって、バンドがキリッと引き締まるしね、それでツアーをやれば盛り上がるし。そういうことをやり続けて、かつてロックが良かった頃にすぐ戻れるような状況を作っておきたい。そう思ってるだけですよ。

ーー確かに、さっきの話のように、ロックンロールで現実の社会を描き続けるのもそうだし。シンプルなロックバンドの編成で、2年に1作ペースで、コンスタントにメジャーからアルバムを出して、ツアーを続けていくバンドって誰も残っていないんですよね。

加藤:いや、いないと思う。できないと思う、やっぱり。これ、相当な気力が必要で、そこは“昭和の男”だからできるのかな。世代的に痩せ我慢の美学が、あるじゃないですか。そういう古い考えを持っていないと、ここまで突き進めない気がします。もっと効率のいいことを考えていくっていうか。

ーー効率で考えたら、そもそも今の時代、アルバムって必要なの? っていう話にもなりますよね。

加藤:そういう話なんですよ。「これやってて意味あるの? CDも売れないのに」って、そこに疑問を持っちゃうじゃないですか。でも俺たちは、CDで育ってきたから。「俺が信じたものはこれなんだ」っていう、そこだけで突き進むって、根性論に近いし、やっぱり昭和っぽいじゃないですか。でも、間違いではないと思うんですよ。なので、それをやり続けた後に何があるんだろう? っていうのを見てみたい。「あいつら相変わらずムダなことやってるよ」って言われるのか、「やっぱりTHE COLLECTORS、やり続けて今があるよね」って言われるのかはわからない。でも信じたことをやるだけ。THE COLLECTORSは言われたことはないけど、たとえばスタッフとかからミュージシャンが必ず言われることは、「ヒットしそうな曲が1曲あればいいんだよ」っていう。そりゃそうなんですよね。でも自分はアルバムを聴いて育ってるから、1曲じゃ全然足らない。だから10曲以上作りますよ、っていつも思ってるんだけど、その考え方自体が古いんだろうし。でも、古いからって悪いことではないと思うんですけどね。

遂に未知のゾーンに入って、THE COLLECTORSはおもしろくなってきた

ーーライブ活動についても聞かせてください。リリースツアーが始まっていますけど、都内の公演がないのは、年明けから渋谷クラブクアトロのマンスリーライブがあるから?

加藤:そうそう。

ーーマンスリーで1年間クアトロでやるのって、二回目ですよね。

加藤:そうです、2018年が一回目で。もともとクアトロの店長のアイデアで、「クアトロのハコバンみたいにやってみるの、どう? それこそ、毎週金曜日はTHE COLLECTORS、そんなのあってもいいんじゃない?」って言われていて。ツアーとかもあるから週一は実現性がないけど、一月に一回だったらできるかな、おもしろいかもね、って、2018年にやったら、全回ソールドアウトになって。「みんな、こういうのを観たいんだ?」って手応えがあったので、「またいつかやろうね」っていう話にはなってたんですよ。武道館の35周年ライブがあったりして、なかなか開催できなかったけど、2023年ならできそうだ、と。

ーーそうだ、前回も、初の日本武道館のあとにやったんですよね。

加藤:そうそう、だから今回も。1月はツアーファイナルのようなセットリストになると思うけど、2月からは新旧織り交ぜていろんな曲をやりたいと思います。25枚目のアルバムなんで、やる曲は死ぬほどあるから。

ーーそう、25枚目なんですよね。

加藤:ほんとにね、THE ROLLING STONESの背中が見えてきた感じだもん(笑)。しかも、5枚目以降はずっと、同じレコード会社から。

ーーそうだ。当時<日本コロムビア>にいたバンド、もう誰もいないですもんね。いや、バンドだけじゃない、スタッフも。

加藤:いなくなっちゃいましたよ、90年代にいたスタッフは。亡くなった人もいるしね。でもここまで来たら、やれるだけ<日本コロムビア>でやろう、その方がきれいだなと思って。だからこの先売れて、他のレコード会社がどんなにお金を出すって言っても、俺は<日本コロムビア>にいようと思って(笑)。遂に未知のゾーンに入ったんで、THE COLLECTORSはおもしろくなってきましたよ。

ーーずっと同じレーベルかつ、2年に1作ペースでアルバムをリリースしているバンドってなかなかいないかもしれないです。

加藤:そして、もうひとつ付け加えるならば、ずっとメジャーからリリースしている、っていうのはね。もちろん世の中は、インディーズだろうがメジャーだろうが関係なくなってるんだけど、俺たちがデビューした時は日本ではメジャーのシーンにいないとハクがつかない、っていう風潮はあったじゃないですか。そこも古い考えで、THE COLLECTORSが終わるまで、メジャーレーベルにずっと居続けないとよくないな、と思ってるんですよ。目先の利益だけ考えたら、絶対インディーズの方がいいんだけど、やっぱりなんか、違うんだよね。昭和の価値観の中で生きてきたバンドだから、自分たちのモチベーションを上げる上でも、ずっとメジャーの中でやっていけるかどうかっていうのはあって。成績が悪かったら、契約を切られるかもしれない。そういうドキドキもありながらやっていかないと、バンドがピリッとしない気がしていて。

ーーストレスや制約があった方がいい?

加藤:あった方がいい。ないとダメ。ないと、人間、どんどんラクな方へラクな方へ行きたがるから。これだけキャリアがあると、そういう方法でも作品は作れる。だけど、質はどうなのかっていうと、やっぱりピリッとしない。だからそういうジレンマをいつも抱えていて。プロ野球選手も契約更新があるかないか、ギリギリのところに立ち続けていて。そういうのが常にないと、いいプレイはできないと思う。それと一緒ですね。

THE COLLECTORS『ジューシーマーマレード』

■リリース情報
THE COLLECTORS
25th Album
『ジューシーマーマレード』
2022年11月23日(水)発売
COCP-41913 ¥3,300(税込)

1.黄昏スランバー
2.ジューシーマーマレード
3.GOD SPOIL
4.パレードを追いかけて
5.裸のランチ
6.もっともらえる
7.サンセットピア
8.イエスノーソング
9.負け犬なんていない
10.長い影の男
11.アサギマダラ
12.ヒマラヤ

■ライブ情報
『THE COLLECTORS CLUB QUATTRO MONTHLY LIVE 2023』
会場:渋谷CLUB QUATTRO
日程:
2023年1月15日(日)
2023年2月12日(日)
2023年3月12日(日)
2023年4月16日(日)
2023年5月14日(日)
2023年6月11日(日)
2023年7月16日(日)
2023年8月13日(日)
2023年9月10日(日)
2023年10月15日(日)
2023年11月19日(日)
2023年12月10日(日)

時間:OPEN15:15 START16:00
チケット代:¥5,200(前売、ドリンク代別)

THE COLLECTORS WEB:https://thecollectors.jp/
NIPPON COLUMBIA WEB:https://columbia.jp/collectors/

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