向井地美音の覚悟から考える、今アイドルに求められるリーダー像 高橋みなみや指原莉乃の発言にも見えた責任の重み

求められるリーダー像「結論をシークレットにしない」

 高橋みなみは、当時のメンバーが恋愛スキャンダルを起こした際、ファンに何度も頭を下げた。時代的にも「アイドルの恋愛はご法度である」という不文律が強い傾向にあった。

 ただアイドルシーン自体、その枠組みは年々広くなっている。たとえばかつての「10代前半でデビュー、20代前半で卒業」というムードから、「年齢にとらわれずに活動する」という考え方が定着。昨今、そうやってアイドルがその人の生き方そのものになってきた、Negiccoのメンバーが結婚や出産、さらにももいろクローバーZの高城れにも結婚を発表するなど、グループによって活動スタイルにも大きな変化が生まれてきた。

 そういったことも踏まえると、「今、求められているキャプテン像/総監督像」は、向井地がTwitterで投稿したように時代性を鑑みながら、「これからのビジョン」が示せるタイプだろう。彼女の「改めて考え直す時代が来た」という一文は、特に重要だ。AKB48グループに限って言えば、プロデューサーの秋元康による「アイドル活動に打ち込めば恋愛などをする時間もないはず」というような言葉が前提にあり、「恋愛NGというわけではない」としながらも、スキャンダルへの対処に関しては非常にあやふやになっていた。そんな出来事が何度も噴出してきた以上、具体的な行動をとると宣言した向井地の態度は、「今、求められているキャプテン像/総監督像」にぴったりではないだろうか。

 ただし、もっと大切なのはそこで出た結論をシークレットにしないことである。「答え」をはっきり公の言葉にしてくれるかどうか。その結論が、ファンやメンバーをどのように発展させていくものなのか。もしグループ内での決まりを破った場合は、どうなるのか。これまでそれらがなんとなくスルーされてきたからこそ、メンバー、ファンの動揺を生んだ。つまり、つつみ隠さず明確にすることが「今、求められているキャプテン像/総監督像」である。そういう部分では、キャプテンや総監督はより大変な立場になるかもしれない。副キャプテンや各チームキャプテンなどはいるものの、責任を分けあえる重役をもっと分かりやすく作った方が良いのではないか。

 AKB48のようなきわめて大きなアイドルグループが下す判断は、日本に現存するメジャーから地下までのアイドルの考え方にも間違いなく影響を及ぼし、今後のアイドルシーンのスタンダードになる可能性もある。その鍵を握るのがキャプテンや総監督である。

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