YOASOBI、英語版EP『E-SIDE 2』や88rising主催フェス出演に見る海外人気 “考察文化”との相性も一因に

YOASOBI、海外人気の背景

 11月28日、YOASOBIにとって二枚目となる英語版EP『E-SIDE 2』が配信リリースされた。昨年リリースされた前作『E-SIDE』以降にリリースされた楽曲から、「Romance」(「大正浪漫」の英語版)や「The Swallow」(「ツバメ」の英語版)など、既存曲の英語版が全8曲収録されている。歌詞の翻訳については、原曲の持つ発音やニュアンスを残した英訳が絶賛を集めたKonnie Aokiが前作に引き続き担当している。

YOASOBI『E-SIDE』ジャケット
YOASOBI『E-SIDE』ジャケット写真

 昨年7月、「夜に駆ける」の英語版である「Into The Night」のリリースを皮切りに本格的に動き出したYOASOBIの海外進出だが、その成果は着実に表れているようだ。同楽曲MVは現時点でYouTube上で約780万再生を超えるヒットを記録しており、『E-SIDE』に収録された楽曲の多くについても百万〜数百万ほどの再生回数を誇っている。12月にはYOASOBIにとって初の海外公演となる、88rising(Jojiやリッチ・ブライアンといった、アジアにルーツを持つアーティストを擁するコレクティブ/レーベル)の主催による音楽フェスティバル『HEAD IN THE CLOUDS』のインドネシア・ジャカルタ公演、フィリピン・マニラ公演への出演が決定しており、その勢いはさらに増していくことだろう。

[YOASOBI / Into The Night (「夜に駆ける」English Ver.)]

 「夜に駆ける」がリリースされた当時から、日本だけではなく香港や台湾、インドネシア、シンガポール、マレーシア、インドなど各国のSpotifyバイラルチャートにランクインし、アメリカなどの英語圏でもTikTokを起点にバイラルヒットを生んでいたYOASOBIにとって、海外リスナーの存在はもはや珍しいものではない。新たな楽曲がリリースされるたびに、YouTubeのコメント欄には様々な言語が溢れ、各国の有志のファンが歌詞を翻訳して共有し、時には各言語のカバー動画が作られることもある。そんな流れが自然なものとなっているのだ。『E-SIDE 2』のリリースは、この流れをさらに後押しすることだろう。

 今作における最大の目玉は、やはり「祝福」の英語バージョンである「The Blessing」だ。現在放送中のTVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(MBS/TBS系)のオープニングテーマとして日本国内でも高い人気を誇る原曲だが、その熱狂は英語版が登場する以前から海外にも波及していた。前述の通り、以前から海外リスナーを獲得していたという背景があるのはもちろんだが、最たる要因はやはり『水星の魔女』の存在だろう。Crunchyroll(世界最大級のアニメストリーミングサービス)のチャートで上位にランクイン(※1)し、redditのアニメコミュニティにおいても強い支持を集めている(※2)同作を通して、主題歌である「祝福」の海外人気も(従来以上に)高まっていった。

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