『CDTVライブ!ライブ!』、音楽番組初の見逃し配信スタートまで 若年層に求められるスマホで観られる手軽さ

 2020年3月からスタートした『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)。音楽番組として初めてTVerでの見逃し配信を行なっているのをご存知だろうか(※一部アーティストは対象外)。見逃し配信を決意した経緯や、実際の反響、そして番組放送開始から2年半が経った今感じる手応えなどについて、プロデューサーの髙宮望氏に話を聞いた。(編集部)

「音楽番組は配信に向いているはずだから、早くやらなくては!」

ーー髙宮さんは『CDTVライブ!ライブ!』以前はどんな番組に関わっていたのでしょう。

髙宮:入社して最初の2年間は社長室秘書部に配属になり、常務の秘書をやっていました。入社3年目で制作局に異動して『ぴったんこカン・カン』のADからディレクターになり、その後、『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』も担当していました。

ーーバラエティ歴が長かったということですが、音楽番組を手掛けるようになったきっかけは?

髙宮:2016年のある日、上司から「定期的に放送できるような4時間の音楽特番を作ってほしい」という指令が出たんです。それで作ったのが『歌のゴールデンヒット』でした。オリコンのランキングを扱った番組で、先日も堺正章さん、内田有紀さん、藤井隆さんが司会で放送がありました。その特番の演出をやったことをきっかけに、音楽番組に携わるようになり、深夜で放送していた頃の『CDTV』や『音楽の日』のプロデューサーを担当することになりました。

『CDTVライブ!ライブ!』スタジオの様子

ーー音楽番組を制作する上で、意識していることはありますか?

髙宮:バラエティ番組のディレクターをやってから音楽番組に携わるようになったからこそ、視聴者の方にどう飽きられずに番組を構成していくかが、音楽番組でもすごく大事なことだと思っています。『CDTVライブ!ライブ!』総合演出の竹永典弘も、かつて『金スマ』の総合演出を、現在は『THE TIME,』の総合演出も担当しているので、構成やVTRの見せ方一つで番組が変わることを熟知しています。よりアーティストの曲を聴きたくなるようにするにはどうすべきか……を常に心掛けて作っています。

ーーでは、TVerでの『CDTVライブ!ライブ!』見逃し配信がスタートした経緯を教えてください。

髙宮:『CDTVライブ!ライブ!』の放送後にSNSを見ていると、「神カメラワーク!録画したのを何度も観てる!」といった声を沢山いただいていたんです。だとしたら、見逃し配信をして、何度も番組を観てくれるようになるといいなぁ……とずっと思っていました。番組を作っている身としてはリアルタイムで、テレビの大画面で観てほしいのはもちろんなのですが、一方で『CDTVライブ!ライブ!』は、チャイルド(4歳~12歳の男女)やティーン(13歳~19歳の男女)、F1(20~34歳の女性)が放送時間帯で並びトップになるぐらい沢山観て下さっていて、そういう世代は、通学時とか通勤時にスマホで見逃し配信を観る方も多いと思うので、すぐ観られる手軽さが音楽番組にもあったほうがいいなと常々思っていました。そもそも、好きなアーティストのコンテンツをネット上で繰り返し観る傾向が実際あるわけで、音楽番組は本来、配信に向いているはずだから、早くやらなくては! という思いがありました。

ーー権利の問題など、乗り越えなければならない壁もあったかと思うのですが、実際にレコード会社の方にお話をした時の反応は?

髙宮:レコード会社の方々も、もちろん沢山の人に曲を聴いてほしいと思っていて私たちと思いは同じでした。賛同してくださり実現に向けて一緒に頑張ってくださった感じです。それにこれまでも、出演したアーティストから『CDTVライブ!ライブ!』でしかできない歌録りだったから、ずっと観てもらえるように映像を置いておけないですか、という相談もいただいたりしていて、やはりアーティスト自身も繰り返し観てほしいものなんだな、と感じていました。そんなみんなの思いがようやく実現できた……という気持ちです。

ーー実際にスタートしてから、視聴者の反響はいかがですか?

髙宮:“音楽番組=見逃し配信をやってない”という固定概念があるみたいで、まだ浸透しきっていない部分もありますが、「『CDTVライブ!ライブ!』見逃し配信始まってるんだけど!」という声をSNSで見ると、「見つけてくれたんだ、ありがとう」って(笑)嬉しい気持ちになっています。放送後、出演したアーティストが見逃し配信の告知してくださる効果もあり、徐々に“CDTVライブ!ライブ!=見逃し配信をやっている”が浸透してきたのではと思います。

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