STUTSプロデュースのMirage Collective、バイラル好調 『エルピス』にも通ずる“強さと儚さ”の二面性
Spotifyの「Daily Viral Songs (Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの11月16日付のTOP10は以下の通り(※1)。
1位:結束バンド「青春コンプレックス」
2位:Bar Yahman, Blacky Taiki, 崖の上のオニョ「Yahman Hard Bass」
3位:Mirage Collective「Mirage Op.1」
4位:SOCKS, DJ RYOW「Osanpo」
5位:結束バンド「Distortion!!」
6位:Singer's High「ノールス」
7位:米津玄師「KICK BACK」
8位:8LOOM「Come Again」
9位:Official髭男dism「Subtitle」
10位:ヤングスキニー「本当はね、」
10位は、17日連続でランクインしているロングヒット楽曲、4人組ロックバンド・ヤングスキニーの「本当はね、」。YouTubeで公開されている同楽曲のMVは、すでに400万回再生に迫るなど、人気急上昇中の楽曲である。7位には、米津玄師「KICK BACK」がランクイン。押しも押されもせぬトップアーティストとなった米津玄師だけあって、再生回数を集計したSpotify Top Songsだけでなく、Daily Viral Songsにも上位にランクイン。大人気アニメ『チェンソーマン』(テレビ東京系)のオープニングテーマということもあり、米津玄師のファンや音楽好きだけでなく、幅広い層に受け入れられた結果といえるだろう。そして、首位と5位に同時ランクインする結束バンドは、現在放映中のアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』(TOKYO MX)に登場する物語上のバンドだ。女子高校生がバンド活動に青春を燃やす物語のこのアニメ。物語と関連楽曲が地続きになっていることから、アニメの人気がそのまま楽曲の人気につながった格好だ。
このように個性的な楽曲が揃ったチャートのなかから今回ピックアップして注目したい楽曲は、Mirage Collective「Mirage Op.1」である。謎が謎を呼ぶこの楽曲。そんな、ミステリアスな部分をあえて楽しんでみてはいかがだろうか。
「Mirage Op.1」は、長澤まさみ主演の月10ドラマ『エルピスー希望、あるいは災いー』(フジテレビ系)の主題歌。そして、この楽曲を手掛ける音楽集団 Mirage Collectiveのプロデューサーは、トラックメイカーでMPCプレイヤーのSTUTS。当初明かされていた事実は、この2つのみ。それ以外、STUTS以外のMirage Collectiveのメンバー構成や楽曲の歌声の主は、謎だった。最近になり、ボーカルは活動休止中のバンド・SuchmosのYONCEであることが発表されるなど、徐々にプロジェクトの輪郭も浮かび上がりつつある。また、より謎を深めるのは、この楽曲が連作であること。今回のチャートで3位にランクインした「Mirage Op.1」とは別に「Mirage Op.2」という女声が加わった別ボーカルバージョンも存在する。これはまるで、2021年に松たか子主演で放映されたドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系)の主題歌「Presence」に相似しているように思える。「Presence」もドラマの物語が進むにつれて楽曲のボーカルとゲストラッパーが変わっていく構造だったのだ。そして、興味深いことに、この「Presence」のトラック制作と楽曲プロデュースもSTUTS。このような状況を鑑みると「Mirage Op.1」「Mirage Op.2」の他にもいくつかのバージョンが用意されている可能性は高そうだ。