et-アンド-、同世代の“病み”を歌詞に昇華した「宵宵」制作秘話 「何日か落ち込みながら失恋について考えてた」

et-アンド-「宵宵」制作秘話

 et-アンド-が、“春夏秋冬4部作”の第三弾「宵宵」をリリースした。同曲は春の「花心」、夏の「夏海月」に続く、秋の失恋ソングとなっている。作詞はメンバー全員とケリーが手掛け、作曲はet-アンド-の楽曲プロデューサーである菊池一仁、編曲は同グループの楽曲初参加となるESME MORIが担当した。

 “病み曲”というテーマを与えられたメンバーが、各々ダークなシチュエーションの中で書き出した歌詞には、元恋人への思いを断ち切れず、毎晩マイナス思考に陥ってしまう女の子の気持ちが綴られている。インタビューでは、今作の制作エピソードと共に、結成1年を迎えたグループの現在について話を聞いた。(編集部)【最終ページに読者プレゼントあり】

モラレス「夜な夜な、暗くした部屋で1人で歌詞を考えた」

et-アンド- / 宵宵 (Music Video)

ーー春夏秋冬をテーマに各季節1曲ずつリリースしていくシリーズも秋まできましたが、ここまで制作してきた感想を教えてください。

野島樺乃(以下、野島):1年を通してその季節に合わせた曲をリリースすることは、なかなか他のアーティストさんでも見ないので珍しくて面白いなと思いますね。「秋はどんな曲になるんだろう」とか「次はどんな歌詞書こう」と、自分たちも楽しみながら1年活動してるので、今年はあっという間でした。

栗本優音(以下、栗本):春といったら「花心」、夏といったら「夏海月」みたいになってほしいと思いながら曲を作ってきたので、「宵宵」も秋の定番曲になったら嬉しいですね。

ーー前回の「夏海月」に続いて、今回の「宵宵」も全員が作詞に関わっています。制作はどのように進めましたか?

モラレスきあら(以下、モラレス):楽曲をいただいてから自分のパートの歌詞を個々で考えて、それをケリーさんがまとめてくれました。

野島:最終的に失恋の曲になりましたが、最初は“病み曲”というテーマだけがあったんです。曲に対してのイメージも本当に4人4通りで、全然違う歌詞が出てくるんですよね。だから完成した歌詞を見たときに、それぞれの色が出ているのが面白いなと思いました。

ーーみなさんはそれぞれどのようなアイデアから歌詞を書き進めていったんですか?

山崎カノン(以下、山崎):私の歌詞は全部妄想の中で作り出されたんですけど、“病み曲”ということで自分もすごくテンションを落としながら書きました。「夏海月」のときはカフェとかでも考えたりしたんですけど、今回は家の中で1人で、部屋を真っ暗にして雰囲気を作って、ちょっと病んだ感じの心情を思い描きながら書きました。

栗本:私は、「別れた元恋人にはもう新しい彼女ができている」という設定を最初に作りました。私は「花心」の作詞にも参加したんですけど、“病み曲”じゃないのに歌詞を考えていると自然と病んじゃうんですよ(笑)。「宵宵」は“病み曲”だから、より深い部分まで考えたり、今までの自分の経験を参考にしました。

野島:歌詞を書くときは病んでいる状態をざっくりイメージしていたのですが、失恋に繋げようとは全然考えていなかったんです。同世代の方たちが病むとどうなるのかなと考えて、最近はやっぱりネット社会だから、サビにも〈ネット厨〉というワードを書いてみたり。嫌なことがあったらネットに逃げて、誰かと繋がっていたいというのは私達と同い年ぐらいのZ世代の子たちには共感してもらえるんじゃないかなと思って書きました。私も実際、病んでいるときは1人でいたくないなって思うし。でもそれって結局現実から逃げているだけ、目を背けているだけで状況は変わっていかないということも経験したことがありました。そういう同世代の不安を歌詞に書きましたね。

野島樺乃
野島樺乃

ーー〈ネット厨〉のような歌詞は曲の中でもポイントになっていますよね。

野島:そうですね。「厨」と「中」で漢字は違うけど韻は踏んでいるし、歌詞を見ても遊び心があって面白いなと思います。

モラレス:私は「病み=失恋」にすぐ結び付きました。夜な夜な、暗くした部屋で1人で歌詞を考えていましたね。失恋の状況をイメージしていると自分まで引っ張られてしまって、歌詞を作った何日かはちょっと落ち込みながら失恋について考えていました。

ーーそれぞれ書き方のとっかかりも考え方も違っていて面白いですね。完成した歌詞はすごくリアルな人物像を描いているなと感じました。

野島:本当にリアルだし、包み隠さずストレートに言葉を乗せている感じが新しいなと思います。〈ひとりを楽しんでいる 嘘〉とか。〈その無邪気さが大嫌いなの〉もめっちゃ共感できるし、レコーディングのときも感情が入りましたね。

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