蒼井翔太によるOPも話題、『ポプテピピック』楽曲に集まる注目 クオリティの高さとストーリーが生み出すギャップ
10月から放送されているTVアニメ『ポプテピピック』(TOKYO MXほか)第2期。2018年に第1期が放送された当初の熱量そのままに、現在放送中の第2期も大きな話題となっている。
AパートとBパートで出演キャストを変更する“再放送”や、クリエイティビティに溢れた映像、ニッチなパロディ要素、“クソアニメ”という褒め言葉を定着させたそのバラエティ性と話題に事欠かないが、今回は作品を支える音楽の魅力に注目したい。
『ポプテピピック』の音楽は吟(BUSTED ROSE)が手がけており、特筆すべきはその音楽性の多彩さ・質の高さだ。先日放送された第2期1話のオープニングは特撮風の実写映像で、1期の最終話でも実写で出演しネットミームにもなった俳優・声優の蒼井翔太が再び出演。楽曲も蒼井が歌う「Endless Love」が採用されており、随所にオマージュが散りばめられている特撮のオープニングらしい楽曲である。
ここで思い出されるのが、第1期1話のオープニングだ。フェイクアニメ『星色ガールドロップ』のオープニングテーマとして「Twinkling star」が放送され、こちらもラブコメやアイドルものの主題歌らしくキラキラしたサウンドであった。
放送の一発目に本編と無関係な映像を持ってくることで、あらゆる意味で衝撃を与えたわけだが、映像はもとより音楽が“本物”だからこそ見ている側も全力で弄り面白がれる、イレギュラーさが引き立つのである。
これは挿入歌においても顕著で、記憶に新しい第2期1話の挿入歌「アイデンティティ」は、完全なるグランドミュージカルのサウンドであった。本楽曲を歌うのは、この回のAパートに出演していたミュージカル女優としてもトップを走る平野綾だ。彼女の歌唱によってある種の“正解”が提示されたことによって、Bパートでキャストが変わっても楽曲の意図はそのままに、声優陣の演技が堪能できるという贅沢な作りとなっていた。
第1期の放送後に発売となり大ヒットしたサウンドトラックCD『ポプテピピック ALL TIME BEST』は3枚組という大ボリュームであり、音楽面での充実を物語っている。サウンドトラックとしての質の高さはもちろんのこと、本編同様にキャストが変わるエンディング曲「POPPY PAPPY DAY」はじめ、挿入歌もバージョンの違いを楽しむことができるのが魅力であった。
第1期の「POPPY PAPPY DAY」は女性声優バージョンが牧野由依と渡部優衣、男性声優バージョンには赤羽根健治と武内駿輔が起用されていたが、第2期のエンディング曲「仲良ピース」も同様に女性声優は石見舞菜香と長谷川育美、男性声優は大須賀純と高橋広樹が起用されている。どの組み合わせも別作品を彷彿とさせるコンビで、『ポプテピピック』の持つパロディ性の一端を担う一曲になっている。どちらの楽曲も切なさを残すようなメロディと爽やかなサウンド、そして『ポプテピピック』らしい歌詞の内容が合わさり、“アニメのエンディング曲”としてある種の王道を貫いているのである。