yama、最新ツアーで果たした昨年のリベンジ 感情表現豊かなボーカルから感じた成長

 そこから「Oz.」「ライカ」「春を告げる」「麻痺」と続けて歌唱。曲が進むにつれて会場の温度も上がり、自然と手拍子が起きたり、腕を振ったりなど、思い思いにライブを楽しむ光景が広がっていた。yamaの歌もそれに応えるように乗っていく。

 雪崩れ込むようにして「くびったけ」へ。ここでyamaは、心の叫びが漏れ出たような力強い歌声を披露する。以前インタビュー(※1)でも言っていた、「今の自分の課題」だという感情を込めた表現方法をしっかりと身につけていた。そんなyamaの成長した姿に、観客も手を強く掲げて応戦。従来のyamaのイメージを覆す、ロックなyamaの姿がそこにあった。

 歌唱後、yamaは神妙な面持ちで話し始めた。去年のツアーファイナルでの経験が、今回の2ndアルバム『Versus the night』制作のきっかけだということ。そしてその時に陥った挫折について「去年ここに立った時、それまで積み重ねてきた経験や学んだことがゼロになって、弱い自分になっていた。思うように自分の力を発揮できなかった」と明かす。しかし、そんな時に感じたのが、ファンを含めた周りの人々の愛だというのだ。「こんなに近くに、たくさんの愛をいただいていたんだということにようやく気づいた」「いただいた愛を返さないとと感じた」と続けると、yamaは感極まって号泣。それを包み込むようにして、会場からは自然と温かな拍手が起きた。

 ここで披露したのは、yamaが初めて作詞作曲した「それでも僕は」。yamaが自分のファンに向けて歌った曲だ。「光の夜」のような神々しさがあるわけでも、「くびったけ」のようにエネルギッシュなわけでもないが、この曲を歌うyamaは、この日一番、自分自身の気持ちを乗せて歌えているように見えた。歌い終えると、どことなくすっきりとした表情を浮かべているyamaが印象的だった。

 アンコールは「Hello/Hello feat.泣き虫」「色彩」「世界は美しいはずなんだ」の3曲を歌い、終演。挫折を乗り越え、ファンに感謝を伝えた本公演。ある意味で昨年のリベンジを果たしたと言えるこの日のライブは、今後のyamaにとっての大きな経験となったに違いない。

※1:https://realsound.jp/2022/08/post-1116964.html

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