ELLEGARDENの音楽はバンドの生き様そのものだーー新曲「Mountain Top」に感じる、再び集結した意義

 孤高の戦いを予感させながらも、もう決してひとりではない。この楽曲は、そんな明るさも含んでいる。16年前、別々の道を歩み始めたメンバーが手にしていたのは、おそらく白地図だったと思う。正確なルートはわからないままに、けれど辿り着きたい場所を手放すことなく、それぞれ航路を描き続けた。そして、再びELLEGARDENへと集結した。

 〈Things get tough from here on〉、追い込まれた決断の遠く先にあった未来の9月9日。ここからが本番。今の彼らが放つ音には、ヒリヒリした危うさすらもすべて包括する頼もしさがある。高い壁を乗り越えるために清濁を併せ呑んだ者だけが奏でられる優しい音。ただし、この楽曲は再出発の序章に置かれた一編にすぎない。補強した船が推進力を増すみたいに、風変わりの志を持って現代の音楽シーンを強く突き進んでくれるはずだ。

 活動休止当時、4人を代表してインタビューを受けた細美武士は、ファンに対する率直な申し訳なさを吐露した。そうした中で「俺はまたみんなにすごく会いたい」「必ず戻ってきますよ」と続けた言葉は、儚くも強い意志として明確に存在していた(※1)。それは再結成後のライブを披露した10年前に一度果たした約束ではあったが、新たな楽曲の発表を通して、彼らは「No.13」ーー13番地で待ってくれていた人との、自分たちとの約束をさらに超えてみせたのだった。

 ELLEGARDENの楽曲を聴いていると、信頼感に身を委ねたくなる。彼らの音楽には嘘がなく、バンドの生き様そのものに感じるからだと思う。生きづらさを抱えた日、同情的に慰めるでもむやみに励ますでもなく、いつだって不器用に寄り添ってくれる。「Mountain Top」も挑戦する人々の背中を支える一曲だ。新たに帆を掲げた4人は、今どんな航海の最中にいるのか。アルバムの続報を心して待ちたい。

※1:『ROCKIN' ON JAPAN』2008年6月号より

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