Nagie Lane、初オーガナイズイベントで見せた成長し続ける“タイミングの精度” 『TCC』第3弾のステージを観て

Nagie Lane、『TCC』第3弾レポ

 声でシティポップを奏でるアカペラバンド・Nagie Laneが、初のオーガナイズイベント『TOKYO CITY CONNECTION』(以下、『TCC』)を開催している。

 7月から4カ月に渡り、毎月ゲストを迎え、duo MUSIC EXCHANGEにて行われている『TCC』。その第3弾が9月30日に、Anlyと黒沢 薫(ゴスペラーズ)を迎えて開催され、3組のアーティストが渋谷の夜を彩った。

Anly

 トップバッターを務めたのは、シンガーソングライターのAnlyだ。ギター1本にループペダルを用い、目の前で楽曲のファクターを録音しながら歌唱するというスタイル。中低音を生かした伸びやかな声と、多彩なスキルで観客を魅了する。目の前で、カッティングギター、ボディをタップしたリズム、コーラス……と、ペダルスティールを使って次々に録音していくという彼女のパフォーマンスはじつにスリリング。観客も片時も目を離せないようだった。MCでは、色々な場所でたくさんのライブをやっているけど、と前置きし「『TCC』を選んでくれた人が1番カッコいいと思います。今日はそんなカッコいい皆さんにこの歌を捧げます」と、最新シングル「KAKKOII」へ。“カッコいい”と連呼する男前でソリッドなアップチューンに、会場もクラップで応える。ギターの弾き語りで聴かせたバラードも含め、全7曲、10月12日に発売される『QUARTER』収録曲も数曲披露し会場を盛り上げた。

 2番手は、Nagie Laneが世に出るきっかけにもなったキーマンであり、日本屈指の歌い手でもある黒沢 薫がステージへ。初秋の風のように爽やかなバラードの後、エレクトリックブギーを軸にしたダンスチューン「Honey」へ。8月22日に7年ぶりとなるソロ作品『All U Need Is Luv』をリリースしたばかりの黒沢。そのソロライブではバンド編成だったが、この日はDJとキーボードという編成により、ボーカルアプローチが明らかに違っていた。バンドの時は、リズムを重視したアプローチで聴かせたが、この日はグルーヴのゆれを自分のボーカルで表現していた。恐るべしスキルとセンスだ。シティポップバンド Nagie Laneのイベントに合わせ「せっかくなんで僕もシティポップの名曲……古典といってもいかもしれない曲を」と、シュガー・ベイブのカバー「DOWN TOWN」を披露。『All U Need Is Luv』収録曲全3曲の他、計8曲を歌い、オーガナイザー Nagie Laneにつないだ。

黒沢 薫

 転換が終わり、会場が暗くなる。楽曲の一部をサンプリングした要素と声だけで、テクノのリミックスを彷彿させるクールなSE。「1,2,3」という掛け声が聴こえると「Whatcha gonna do」を歌いながら、Nagie Laneの6人がステージに姿を現す。観客は盛大な拍手でレスポンスする。リードを務めるmikakoはステージを右に左に動き、時にしゃがみこむようにバウンスしながら、ソウルフルな歌声を響かせる。euroが低音でキメ台詞のようにラストを飾ると拍手が起こった。

rei
baratti

 reiが「Let’s enjoy!」と叫び、リードをとる「Smile Again」へ。ステージ前ギリギリまで出て、観客の顔を見ながら手を振るrei。後ろの5人は、リズムをとり歌いながら自由に揺れている。その様は、まるで6人のグルーヴを体現しているかのようだ。サビでは曲に合わせたクラップが一段と大きくなる。最初のMCでは「盛り上がってますか」とkeiji。いろんなジャンル、いろんな人たちと化学反応を起こしていきたいと、mikakoが『TCC』のコンセプトを説明すると、mayuがマイクをとり「今、何時ですか? 20時半くらいですか? このイントロが流れたら時間巻き戻すしかないよね!」という言葉から「東京は夜の七時」。mayuをセンターに、前が女子3人、後ろに男子3人のフォーメーションだ。

mayu
euro

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