乃木坂46にライバルグループが生まれるとしたら……可能性を大胆予想
<エイベックス>と秋元康の関係は、SKE48が2011年から<avex trax>所属であり、2017年にはエイベックス代表取締役会長 松浦勝人との共同プロデュースによる「劇団4ドル50セント」を設立するなど関わりは深い。
<エイベックス>は、1990年代に一大ブームを巻き起こした小室哲哉によるプロデュースアーティストをはじめ、2000年代以降はEXILEを代表としたダンスミュージック系のアーティストが盛況だ。アイドルに関しては、2010年に<エイベックス>初のアイドルプロジェクトである「iDOL Street」を発足し、SUPER☆GiRLSを輩出。<エイベックス>はアーティストを育成する「エイベックス·アーティストアカデミー」を持っていることから、高いスペックを備えたメンバーがグループに参加することも多い。ただそれがアイドルとして人気を得られるかは別問題で、「iDOL Street」に残っているのは現在SUPER☆GiRLSとわーすたの2グループのみ。しかし、レーベルで言えばWACK所属のBiSHや豆柴の大群は<エイベックス>からメジャーデビューし、ももクロを輩出したスターダストプロモーション所属の超ときめき♡宣伝部は“正統派かわいい”に特化したアイドルグループとして独自のファンを獲得している。
また、ダンスボーカルグループとして東京女子流は10年以上のキャリアがあり、FAKYは“次世代ガールズ・ユニオン”と定義し世界に向けて活動しているほか、K-POPブームに乗るように世界的に知名度を高めているXGなども存在する。代表取締役社長CEOの黒岩克巳氏曰く、XG擁するプロジェクト「XGALX」から「この先5年以内に、XG以外にも複数組のグループ、アーティストを出していく計画がある」と明かしているため、XGの成功は<エイベックス>内での試金石となったのではないだろうか(※2)。
まだ全貌や真偽は不明だが、<エイベックス>の音楽的な特性、秋元康によるAKB/坂道グループの軌跡をもとに次のグループを予想をしてみたい。
乃木坂46のライバルを作るならば、<エイベックス>が得意とするダンスミュージックに特化したグループになるのではないか。世間ではK-POPグループにインスパイアされたガールズグループが続々と登場しているが、すでに様々なグループが誕生している中で、同じ方向性でのアプローチは薄いのではないかと予想する。
その上で乃木坂46と対になるグループイメージを想像すると、<エイベックス>が浜崎あゆみや安室奈美恵と共に一時代を築いた“ギャルカルチャー”を挙げたい。最近では令和スタートと同時に“ポスギャル”として安斉かれんをデビューさせ、「XGALX」にも“GAL”の文字を取り入れるなど、<エイベックス>にとってギャルは復興したい文化の一つのように感じられる。実際、“令和ギャル”としてギャルカルチャーのリバイバルブームも起きている。世界の音楽シーンでは現在、80年代に流行った日本のシティポップが注目を集めているが、音楽の流行における“20年周期説”を踏まえるのであれば次に来るのは90年代~2000年代のサウンドだと思われる。それこそ当時は小室哲哉サウンドやユーロビートの全盛期で、<エイベックス>の原点であり最も得意としていたジャンルだ。そういった点を踏まえると、なぜ<エイベックス>なのか、という疑問にも少しずつ思惑が見えてくるようにも思える。
あくまで想像の域を超えることはないが、平成を象徴する国民的アイドルグループを手掛けた秋元康が、令和にどのようなグループを生み出すのか。今後の動向にも注目していきたい。
※1 https://bunshun.jp/articles/-/56807
※2 https://toyokeizai.net/articles/-/604596?page=2