ディカペラが歌声で再現する、ディズニーの名曲たち アカペラが持つ無限の可能性を語る

ディカペラが再現するディズニーの名曲たち

人の歌声のパワーには限界がない

ーーディカペラが得意とする“マッシュアップ”という手法についても教えてください。2つの異なる歌を合体させて、時にはそれぞれ異なるメロディを歌うのに完璧というか。自分が歌っていて、他の誰かに引っ張られて失敗する、ということはないのでしょうか。

RJ:基本的には歌に物語性があるからうまくいくと思っている。なぜ、僕らがマッシュアップを用いるかというと、ディズニーには名曲も、ヒット曲も数えきれないほどある。それらをできるだけたくさん歌いたいと思う気持ちがあるからなんだ。ただ、何でもかんでも合体すればいいというものじゃない。構成は、物語に沿ったマッシュアップじゃないといけないと思う。うまくいく秘訣は、まずめちゃくちゃ集中すること。さらに一つひとつのパートに意味があるので、それを理解しながら、そこに合う表現をしなくてはいけないと思っている。

ケイレン:音楽的にはコード進行が合うとか、そういう相性を見出すことも重要。そのうえで、歌い手としては自分のパートだけでなく、相手のパート、たとえば、映画『アナと雪の女王』の「レット・イット・ゴー」と「雪だるまつくろう」であれば、モーガンのパートも全て覚える必要がある。全てをちゃんと把握していないと、マッシュアップで歌うことは難しいね。

ーー今ケイレンが挙げてくれた「レット・イット・ゴー」と「雪だるまつくろう」のマッシュアップについて、この曲のアレンジにはエルサとアナの姉妹の関係性が反映されていますよね。

ケイレン:そうよ。ディークがすごいのは、アレンジにおいてもストーリーテリングをしているところ。このマッシュアップの場合は、エルサが最初に歌い始めたところで、すごく孤独を感じるなかで、自分で自分に課した期待から解き放つ思いを歌っている。そういう歌を歌っている時に、妹のアナは、一生懸命助けてあげようとしていて、私はここにいるからねと歌っている。そんなふたりのやりとりを通して、お互いに訴えかけながら、最後のパートで一緒になって歌い上げる。そこでようやく2人の気持ちが重なり合うのよね。エルサは、アナが自分を助けてくれようとしていたことを知り、アナもエルサの心情を理解することができて、ようやく2人がひとつになる物語がアレンジでちゃんと表現される。そんな歌をいつもモーガンと一緒に歌えるって素敵だなと思う。

ーーあなた達は結成された当時は7人編成で、現在アルトパートがいない6人編成。この状態は、今後も続くのでしょうか。

ケイレン:みんなでアルトのパートを振り分けていて、ボイスパーカッションのアントニオも歌うことになっている。モーガンがソロを歌ったあと、次の瞬間にバックアップに回ったりするし。全員が忙しくなったけど、でも、今の状態に私達自身は満足しているの。

ジョー:これまでの歌は構築し直す必要があった。その再構築の過程を僕ら自身が楽しめたから、6人のラインナップで放つエネルギーをみなさんに満喫してもらえると思う。

モーガン:ひとり減って、6人になってもハーモニーの厚みというのは十分にあると思っているよ。

ーー漠然とした質問ですが、経験を積むなかで、アカペラというジャンルの奥深さにあらためて気がついたとか、今現在アカペラについて思っていることを教えてください。

モーガン:無限の可能性というか、できることはもっともっとあると感じているわ。

ケイレン:人の歌声のパワーには限界がないことを実感している。歌で元気とか、勇気を人々にもたらすパワーももちろんあるけど、今声でできること、その可能性をより感じているのよね。テクニックはもちろんのこと、最新テクノロジーを用いて声を加工することで、さらに世界が広がることを知った喜びは大きいかな。

ーー最新テクノロジーということで、アメリカでリリースしたEP『マジック・リイマジンド』について教えてください。この作品はどんな方法でレコーディングしたのでしょうか。

RJ:全て家でレコーディングした作品なんだ。経験を積むなかで、コミュニケーションもより濃密になったから、遠隔であっても色々試すことができた。ある意味で僕らのグループとしての自我の目覚めが反映された作品になっている。コロナ禍で今後どうなるかわからないという不安もあったし、ひとつも無駄にしたくない思いから、1曲1曲徹底的にアカペラを追求した作品にもなっているね。

ケイレン:ひとつ加えるなら、コンサートが全くできない状況のなかで、レコーディングが唯一自分達のクリエイティビティを発揮できる機会だった。とにかくとことんアイデアを出し合って、新しいことにトライしたの。これまでは漠然とこんなこともやりたいなと思っていたことが明確にクリアになって、実現させることも出来たわ。

ーー最後に今後の予定を教えてもらえますか。

オーランド:日本公演のあと、全米ツアーを行うことになっている。そのあと、来年の予定は未確定だけど、僕らにもスタッフにも色々アイデアがあって、それを話し合っている段階だね。ただ、ひとつ話せることは、『ホリデイ・アルバム』のレコーディングが決まっていて、そこには僕らのオリジナル曲も入れる予定になっていること。ぜひ楽しみに待っていてほしい。

『マジック・リイマジンド』:© Disney

■リリース情報
ディカペラ
『マジック・リイマジンド』
2022年7月22日(金)発売・配信
UWCD-1110/3,000円(税込)
Walt Disney Records
https://store.universal-music.co.jp/product/uwcd1110
https://umj.lnk.to/MR_JP

■ライブ情報
東京公演:8月5日(金)~8月21日(日) 東急シアターオーブ(終了)
大阪公演:8月25日(木)〜8月28日(日) オリックス劇場(終了)
広島公演:8月30日(火)18:30開演 広島文化学園HBGホール(終了)
福岡公演:9月2日(金)18:30開演 福岡サンパレス
鹿児島公演:9月4日(日)17:00開演 川商ホール(鹿児島市民文化ホール)第1ホール
名古屋公演:9月6日(火)18:30開演 日本特殊陶業市民会館フォレストホール
札幌公演:9月9日(金)19:00開演 札幌文化芸術劇場 hitaru

<チケット>
いずれもS席 9,800円、A席 7,800円、B席 5,800円、VIP席 14,800円(税込み・全席指定)
3歳以下入場不可

VIP席の特典:10列目以内の席保証、サウンドチェック見学、トークセッション、VIP限定オリジナルグッズ、公演オリジナルグッズ先行販売

■関連リンク
ディカペラ ユニバーサル ミュージック公式サイト:https://www.universal-music.co.jp/dcappella/
ディカペラ日本公式 Twitter:https://twitter.com/DCappellaJapan

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