4s4kiのボーダーレスな才能が遺憾なく発揮された夜 海外アーティストと白熱のコラボステージ繰り広げた初の主催イベント

 4s4kiが8月14日、自身初の主催イベント『NEW ALTERNATIVE FESTIVAL “AREA 44 vol.1”』をSpotify O-EASTにて開催した。2組の海外ソロアーティストをライブアクトに迎えたこのイベントは、作詞作曲からトラックメイクに至るまですべてを一人でこなす4s4kiのボーダーレスな才能が、遺憾なく発揮された一夜だった。

 開演すると、まずはニューヨークからPuppetが登場した。前半はディストーションギターの重厚かつ攻撃的な響きに、エフェクトをかけたエモーショナルなボーカル表現が重なり、轟音に包まれるような大迫力のサウンドを展開。ギターを軸とした演奏はやがてハードエレクトロへと移り変わり、サイケデリックな映像とともにエネルギッシュなステージが繰り広げられた。

 次に登場したのは、オーストラリアから来日したZheani。ダークな映像をバックに、軽快なラップと叫びにも似た声で会場に感情をぶつける。一曲一曲にMCを挟みながらシームレスに曲へと流れ込んでいく構成によって、ライブは一本のストーリーのような展開に。重苦しいリズムの上で飛び跳ねたり、ビートに身体を揺らしながら、最後は「See you Tokyo!」と言って颯爽と去っていった。

 そしていよいよ4s4kiがステージに現れた。ステージ中央に台があり、序盤はその台に片足を乗せながら歌い上げる。1曲目は「LOG OUT」でスタート。4s4kiは舞台を縦横無尽に駆け回り、目の前の観客を煽りながら徐々に会場の空気を掌握していく。4s4kiに向かって手を振る者もいれば、力強く拳を突き上げる者、じっくりと見つめる者、心地よく聴き入る者、スマホを向ける者など、観賞スタイルはさまざま。会場には自由な空気があった。

 そこから「Punish」「I LOVE ME」「0h G0D!!」「NEXUS」と続け様に披露。4s4kiは地声での軽快なライミングから、破裂するような歌声、高音のメロディを麗しく歌い上げる美声まで、ボーカルの表現の引き出しが多い。それらを場面場面によって巧みに使い分け、さらにエフェクトをかけることによって万華鏡のような歌唱を響かせていた。

 続いて歌ったのは「gemstone」。ここでは曲中にPuppetが登場し、コロナ禍に生まれたこの楽曲が初めて生で完全再現された瞬間となった。2人はハグしたりしながら、仲睦まじい様子でコラボ歌唱。Puppetのパワフルかつエモーショナルな歌声と、4s4kiの美しい歌声がステージで融合し、会場からは割れんばかりの大歓声が起きた。

 再びソロになった4s4kiは、ここで「みんなの鬱を吸い取ってあげるよ」と言うと、新曲「paranoia」を披露した。一筋縄ではいかない複雑なビートの上で、オートチューンを用いた独特のボーカルで楽曲の世界観を表現。不思議な気持ち良さのある一曲だった。

 勢いよく歌い終えると、優しい声で「みんなの力を借りますね」と言って深く息を吸い込む。ここで披露したのは、ピアノの弾き語りによる「SUCK MY LIFE3」。静寂に包まれた会場で、一人ひとりのエネルギーをまるで吸い取るかのように目を瞑り、天を仰ぎながら、ゆっくりと鍵盤に指を落としていく。4s4kiの抱える痛みや、苦しみ、悲しさが演奏を通して直に伝わるようなパフォーマンスだった。

 キーボードの音色がエレピに変わり、次は「クロニクル」へ。しっとりとした演奏を聴かせたかと思えば、曲中で中央の台へ移動すると、1DJ1MCスタイルに切り替わり、4s4kiの歌声も畳み掛けるようにして激しさを増していく。サウンドに大胆な変化をつけることで、曲が進むにつれて神々しさを感じるパフォーマンスだった。

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