需要高まる事務所やレーベル主催の音楽フェス フジロック、サマソニでは味わえない“箱推し”の楽しさも
久しぶりに夏フェスに参加したという声も聞こえてくる今年の夏。『FUJI ROCK FESTIVAL』、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』、『SUMMER SONIC』といった大型音楽フェスも開催され、いつもの夏フェスシーズンが徐々に戻りつつある。
新型コロナウイルスの感染拡大のあおりを受け、2020年には音楽フェスの市場規模が6.9億円に縮小したものの、コロナ前にあたる2019年には330億円規模にまで右肩上がりの成長を続け、市場規模拡大に比例して開催される音楽フェスの数も増加傾向だ(※1)。音楽フェスが群雄割拠する時代に入り、ジャンル横断でさまざまなアーティストが出演する大型フェスとは対照的に、コンセプチュアルなフェスが注目を浴びている。なかでも近年多く開催されているのが、事務所やレーベルが主催する音楽フェスやイベントだ。老舗では<エイベックス>による『a-nation』やオフィスオーガスタ主催の『Augusta Camp』、<ビクターエンタテインメント>の『ビクターロック祭り』がこれに該当するが、近年ではさらに多くの事務所やレーベルがフェスやイベントを開催している。
たとえば、VTuber事務所のホロライブプロダクションが手掛ける音楽フェス『hololive 3rd fes.』やアニソンに特化したレーベル<SACRA MUSIC>による『SACRA MUSIC FES.』、そしてBE:FIRSTらを見出したSKY-HIが代表を務める事務所、BMSGが主催する『BMSG FES』など、さまざまな音楽フェスが開催されていることがわかる。
事務所やレーベル主催の音楽フェスが増加する裏には、フェス自体の楽しみ方の多様化があるように思う。歴史の長い大型フェスでは、単独公演では観る機会がなかったアーティストのライブを気軽に楽しみ、新しい音楽と出会う場として機能している側面がある。『FUJI ROCK FESTIVAL』や『SUMMER SONIC』では、邦楽、洋楽の垣根を越えて新しいアーティストに出会うことが醍醐味のひとつと言える。他方で共通の音楽性やスタイルを共有する事務所やレーベル主催のフェスでは、 そうした大型フェスにはない特別な魅力があり、その楽しみ方もまた特徴的だ。