岩田剛典が明かす、歌手デビューから得た刺激 初挑戦だらけの新曲「Ready?」に反映されたスタンスも
2021年、ファンミーティング開催を中心とするセルフプロデュースプロジェクト「Be My guest」を立ち上げ、同年9月にシングル『korekara』で歌手デビューを果たした岩田剛典(三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE/EXILE)。その後もグループや俳優としての活動を中心に、精力的に表現活動を行ってきた彼が、10月12日に1stアルバム『The Chocolate Box』をリリースすることを発表した。それに先駆け、8月26日にはアルバム収録曲「Ready?」の先行配信がスタート。同曲を始め、アルバム収録曲の多くは作詞も自ら手掛けている。初挑戦だらけの最新曲について、“ありのまま”の言葉で語ってもらった。(斉藤碧)
“歌って踊る岩田剛典”を見せるタイミングが今だった
ーー昨年、セルフプロデュースプロジェクト「Be My guest」を発足したことを機に歌手デビューされましたが、そもそもどういう経緯でこのプロジェクトを立ち上げることになったのでしょうか?
岩田剛典(以下、岩田):プロジェクトを始めたのは、(三代目JSBで)デビューして10周年というタイミングで、今までずっと支えてくださったファンのみなさんに、自分発信でもちょっとずつ返していけるような空間を作りたかったというのが大きな理由ですね。三代目JSBとしてはいろいろやってきたけど、何かひとつ、僕とみなさんだけで集まれるものがあったらいいな、そのほうがファンのみなさんも安心するかなと思って。そして、その延長線上に見えたものが歌手としての活動でした。
ーーソロアーティストとして活動を始めてから約1年が経った今、環境の変化や反響についてどう感じていますか?
岩田:これまでは三代目JSB/EXILEの一員としてのアーティスト活動と俳優という二足のわらじでやってきたんですけど、アーティストといえどパフォーマーとしての活動だったので、音楽業界の中での関わり方がちょっと異質だったんですよね。それが今回、自分発信のセルフプロデュース業に踏み出し、ソロアーティストとして歌手デビューしたことで、また新たな景色を見ることができました。自分のキャリアにとっても刺激的なことだらけですし、僕としては賛否両論を覚悟して始めたチャレンジだったんですが、ファンの方にもすごく喜んでいただけてよかったなと感じています。
ーー確かに、パフォーマーがラッパーとしてデビューする流れはEXILE TRIBEにおいて定着している気がしますが、いきなりボーカルデビューというのは異例ですからね。
岩田:そうなんです。何事も新しい挑戦をする時は、ある程度リスクや賛否があるものですよね。でも、そういうものを背負ってでも、自分の情熱を今回のプロジェクトに懸けていきたいと思いましたし、今後も引き続き頑張っていかないといけないなと思っています。
ーーパフォーマーとしての岩田さんはクランプという激しいダンスジャンルが持ち味ですが、歌っている楽曲の音楽性はかなり違いますよね。
岩田:歌っているのは、アシッドジャズとか、チルポップみたいなトラックが多いですね。ピアノとか、生演奏の楽器を使ったようなサウンドで。
ーーそれはご自分のリスナーとしての好みがそういう方向性だったからですか? それとも“ソロアーティスト 岩田剛典”だったらこういう音楽性が似合うと思ったから?
岩田:リスナーとしての好みですね。自分で音楽をやるって決めてから、いろいろ考えたんですよ。もちろん、ダンスをやってきた人間だし、ダンスミュージックで歌って踊ることも考えました。でも、それをいきなり発表している自分が、なんとなくイメージできなかったんですよね。ずっと僕のことを応援してくれている方からしたら、そんなに違和感がないかもしれないけど、今までの活動の中ででき上がった自分のイメージ……世間の人が抱く岩田剛典のイメージを考えると、ダンスミュージックから始めるのはちょっと違うのかなって。だったら原点に立ち返って、自分が好きなジャンルの音楽をやろうと思って、普段自分が好きで聴いているような、リラックスできる感じの楽曲を発表することにしました。アルバム『The Chocolate Box』に収録される楽曲たちも、デビューシングル『korekara』に通じるような統一感のあるラインナップになっています。
ーー岩田さんが自分の好きなものを素直に発信してくれるのは、ファンの方にとって嬉しいことじゃないでしょうか。より身近に感じられると思うので。
岩田:そう思ってもらえたらいいですね。先行配信される「Ready?」を始め、アルバム『The Chocolate Box』では作詞にも挑戦しているんですが、歌詞を書くことは自分の頭の中をさらけ出す作業でもあるので、僕自身もアルバムを制作しながら「自分はこういうものが好きなんだ」「こういうことを考えながら生活してたんだ」ということを再確認できたんです。その素の部分を、曲を通してファンのみなさんにも感じてもらえたらいいなと思います。
ーー昨年末のEXILEのアルバムインタビューで「ちょうど今、自分でも書き始めてます」とおっしゃっていた歌詞が、ようやく今回のアルバムに収録されるわけですね。橘ケンチさんの「それをEXILEにください」(※1)という願いは叶わず(笑)。
岩田:あはははは。
ーー「Ready?」の曲作りはどういうところから進めていったんですか?
岩田:最初はトラック選びから始まりましたね。僕が好んで聴くようなサウンドをよく制作されている作家さんにお話を投げて、アルバム用にいくつかデモを用意していただいた中から選んだ1曲が「Ready?」です。捉え方は人によって違うと思うんですけど、僕はこの曲のデモを聴いた時、チルの中に疾走感も感じて、「ドライブをテーマにしよう!」って思ったんですよね。そこから歌詞も決めていって、なおかつMVの世界観も見えてきて……というふうにどんどんイメージが広がっていきました。だから「Ready?」は結構コンセプチュアルな曲ですね。歌詞の中には、車の用語が入ってきたりもするし。でもベースにあるメッセージは、「肩肘張らず、行けるところまで行こうぜ!」みたいな(笑)。僕もそういう前向きな気持ちで作りました。
ーーチルと言っても「Ready?」はつい身体が動いてしまうような曲調ですよね。イントロがもう、聴き手を踊らせようとしていて。
岩田:そうそう。というのもあって、今「歌って踊っている楽曲を最初に発表するのはイメージできなかった」って言ったばかりなんですけど、「Ready?」ではダンスを解禁しました。いちパフォーマーの自分が脱皮して、アーティストとして歌って踊っている姿を届けたいなという気持ちは前からあって、タイミングを見計らっていたんですよね。それがやっと今、この曲だったらパフォーマンスできるなって思える曲に出会えたので、“歌って踊る岩田剛典”をお見せしようと思いました。
ーー歌って踊る大変さは実感していますか?
岩田:まだライブをやっていないのでなんとも言えないですけど、実際にライブで歌って踊るとなったら、相当難しいんだろうなって思いますね(笑)。踊り慣れているとはいえ、動きながらの発声は勝手が全然違いますし、ダンスも結構激しいので。人前で披露する時にはちゃんとクオリティの高いパフォーマンスができるように、ここからさらに訓練しないといけないなと思っています。