Organic Call、ステージ上で示したストイックな姿勢と音楽への情熱 キャリア初ワンマンを観て

 2022年8月14日、Organic Callがキャリア初のワンマンライブ『Evergreen Tour 2022 Final』を渋谷WWWで開催した。2017年に始動し、年間100本以上のライブをこなす彼らは、大型サーキットイベントで入場規制を続出させ、地上波テレビタイアップも獲得するなど、注目度の高いロックバンドである。そんなOrganic Callにとって、この日のライブはまさに夢のステージ。活動初期に立てた「初ワンマンは渋谷WWWで」という目標に、5年かけてやっと到達したのだ。

 特別な思いのこもったライブは、「ブルーアワー」で爽やかに幕を開けた。カワカミトモキ(Gt)の清涼感あふれるギターに、平田真也(Vo/Gt)の熱量たっぷりのボーカルが重なり、唯一無二のサウンドを作り上げていく。超満員のフロアはすでに熱を帯びていたが、平田は「あんたに歌いに来た!」と観客たち一人ひとりに向けて真っすぐな声で言い放ち、その心を深く突き刺していく。続く「茜色、空に灯す」では、ライトがあたたかなオレンジ色に切り替わり、爽やかな青空から切ない夕焼け空へと変化する情景を見せる。さらに、青春の煌めきと切なさを歌う「Hello My Friend」、ひんやりとした夜の空気を一瞬で感じさせる「眠れない夜には」を立て続けに披露。繊細な美しさと生命力溢れる力強さを兼ね備えた音楽は、観客たちの心を高揚させた。

 客席を見つめながら、「すごい景色っすね」と感極まった様子で呟く平田。「自分たちのことを好きな人がこれだけ集まってくれたんだと改めて実感したい気持ちと、まだ正直受け止められないような気持ちがあります。最後までこのステージ上から言葉を届けます」。そう静かに語った後に演奏したのは、「なにもいらない」。メンバーと観客が共有するリアルタイムな心情とリンクするような歌詞を駆け抜けるようなメロディで歌い上げ、大きな感動を届ける。

 「3秒前の憂鬱」で少しダウナーな空気を漂わせたあとは、2人の女性シンガーソングライターをゲストに迎えてのパフォーマンスへ。透明感溢れる歌声のナナジュウハチとは新曲の「Night Forever」を、アコースティックギターを持って登場したフジタカコとは「未来は君の手の中」「春は巡る」の2曲を披露。ここまで熱いライブを繰り広げてきた彼らだったが、このパートではメロディの美しさを堪能させるように、じっくりと聴かせていく。

 バンドメンバーのみのステージに戻ると、「夢想家のワルツ」で落ち着いた空気が再び熱くなる。アグレッシブなステージングを繰り広げる平田とカワカミは、時折アイコンタクトを交わしながら笑い合っていた。その幸福な空気感はフロアにも伝染していき、観客たちも思い思いに身体を動かしながら音楽を楽しむ。

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