韓国のラッパー DINDIN、TikTokチャート首位 独特のフロウとシンプルな楽曲構成で中毒性満載の1曲に

 また、Aメロで何度も同じフレーズを繰り返す歌詞は、言葉の意味が分からなくても語感で耳に残るし、短いフレーズの繰り返しで展開する構成もシンプルでわかりやすい。加えて、DINDINと10CM(クォン・ジョンヨル)の歌声がまたいい味を出している。前述した母音のフェードアウトもそうだが、ファルセットもスキルも十分ありながら多用せず、軽く高音を出してふわりと置きにいくようなアプローチが素晴らしい。歌モノ的要素もあるヒップホップ、繰り返される同じフレーズ、柔らかな赴きあるバックトラック、メロウなフロウ、その歌声……と中毒性満載の1曲だ。

 DINDINが詩曲を手掛けた同曲は「僕は君の前だけでこうなるんだよ」と何度も繰り返す、男性のちょっとひとりよがりな恋愛事情をキュートに綴ったラブソング。TikTokでは、曲に合わせて両手でVを出しハートを作る手振りダンスが大流行している。8月下旬現在、同曲を使用した動画は投稿数10万を超えている。YouTubeに公開されているMVは、視聴回数830万回を突破し、TikTokでのバズを受けて、今後さらに伸びるだろう。

딘딘 (DINDIN) - 이러면 안 될 거 아는데 너 앞에만 서면 나락 (I’m not myself when I’m around you) (Feat. 10CM) MV

 TikTokというグローバルなプラットフォームが起こすブームには、もはや国境は存在しない。すなわち、韓国でバズった「I'm not myself when I’m around you (Feat. 10CM)」が、日本でもバズったのは必然と考えるべきだろう。

 かねてからTikTokはメディアだと思っていたが、ブームを起こすという視点から考えると、いまや、屈指のマスメディアになりつつある。

※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2022-08-17

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