リュックと添い寝ごはん、青春の日々を彩る楽曲たち 楽しさにも葛藤にもそっと寄り添う優しいアンサンブル

 リュックと添い寝ごはん(以下、リュクソ)のサマーソング「サマーブルーム」のMVが先日公開された。季節感溢れる爽やかなアッパーチューンは、全国高校対抗eスポーツ大会『STAGE:0』をスポンサーとして応援するロート製薬「爽快系目薬 ロートZ!」のCMソングとして書き下ろされたもの。振り返ればここ最近のリュクソは、青春真っ只中の学生の日々を彩るようなタイアップソングを次々と発表している。

 例えば、2021年7月リリースの「くだらないまま」は、「明治 エッセル スーパーカップ」のWeb CMに起用された。シンプルなビートとゆったりとした歌声から始まる1曲で、各楽器のフレージングの変化とともにアンサンブルが徐々に色づいていくような構成。派手さはないが丁寧かつ実直に物語を紡ぐ3ピースサウンドが、特別な事件など起こらない日常の尊さを歌う歌詞とも重なっている。CMは高校生の日常シーンのあとに「ふつうの日、スーパー最高では?」というコピーが映り、〈日々の中に小さな幸せ〉と始まるサビが聴こえてくる構成になっていて親和性抜群。

 当時のインタビューによると、作詞作曲の松本ユウ(Vo/Gt)はスーパーカップのコンセプト「ふつうって、スーパー最高。」に対して「これ、僕らと一緒だ」と思ったため、すんなり曲が書けたとのこと(※1)。また、コロナ禍によって“日常”が大きく変化してしまった時期だったからこそ、日々のきらめきを見逃さずに形にするリュクソの音楽が多くの人に求められた側面もあったのではないだろうか。

くだらないまま

 2022年2月にリリースされた「わたし」は、全日本高等学校・全日本中学校チアリーディング選手権大会を応援するポカリスエットのWebムービー「汗と涙の、笑顔に。」篇のために書き下ろされた曲だ。先に紹介した「くだらないまま」よりも起伏に富んだアレンジになっていて、特にスネアのロールとともに盛り上がっていく1サビ前の4小節間は印象的。同映像では学生の言葉のバックでこの曲が鳴っているが、インストゥルメンタルとしてでも成り立ちそうなほど音がドラマティックであり、そこにバンドの成長を感じた。歌詞には、笑顔の裏にある複雑な気持ちや、本当の自分に出会ってしまったからこその葛藤、そして力強い決意が描かれている。笑ったり泣いたりしながら懸命に生きている学生の“今”に寄り添いつつも、広い視点で人生を歌った曲だった。

リュックと添い寝ごはん / わたし 【Official Audio】

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