Ayumu Imazu×今井了介、“唯一無二”の男性ソロアーティストになる条件 両者が組むことで生まれる大衆性と個性のバランス

Ayumu Imazu×今井了介 特別対談

今井了介が考える、Ayumu Imazuの魅力

ーーAyumuさんの1stアルバム『Pixel』についても聞かせてください。今井さんが関わっているのは、最新曲「Tangerine」、アルバムのリード曲「Over You」、「Butterfly」「Stranger」です。

今井:自分が関わった曲は……やっぱり自分っぽいなと思いますね(笑)。僕だけじゃなくて、Yonkeyさんが作曲、アレンジした楽曲(「Problem」「ACCHI KOCCHI」)、Ayumuくんが作詞・作曲した曲(「破片」「Colors」)もそうですけど、それぞれに色が出ているなと。曲ごとに個性があるんだけど、全曲、Ayumuくんによる作詞や歌声で統一感もあるし、聴きごたえのあるアルバムだと思います。

Over You - Ayumu Imazu 【Music Video】

Ayumu:ありがとうございます。リード曲「Over You」もすごく気に入っています。最初は「これまでの路線とちょっと違うダンス曲にしたい」というところから始まったんです。クールでカッコいい曲だし、新しい方向性を示せたのかなと。

今井:前作に収録した「Light Up」で、ダンスに興味がある人たち、ダンスミュージック好きの方に届いた手ごたえがあって。さらにAyumuくんの良さ(ダンスの魅力やMVを含めて)に光を当てようと思って作ったのが、「Tangerine」なんです。

 「Over You」は、それとは異なるアプローチの楽曲で。日本はどちらかというと4つ打ちの明るいダンス曲が好まれるんですけど、海外に目を向けると、ダークでテンポを抑えたダンストラックも山ほどあって。「Over You」もそういうテイストなんですよね。BPMを落として、ダークな音像で、ビートは4つ打ちながら6/8拍子だったり。それだけでもかなり個性を出せているんじゃないかなと。もちろんポップスとして聴かせたいんですけど、今の海外のチャートを聴いてる人にも「こういう曲をやっている日本のアーティストもいるのか」と興味を持ってほしくて。

Ayumu:いままでにない感じの曲を制作出来ました。サビのメロディラインも、少し違うニュアンスを入れています。キックの音に乗せているイメージなんですけど、メロディが浮かんできたときに「これ、カッコいいかも」と思って。〈Over You〉と口ずさんだのは今井さんなんですよ。

今井:最初は違うフレーズだったよね。

Ayumu:〈stuck on you〉でした(笑)。

ーービートメイク、トップラインを含めて、完全にコライトなんですね。

今井:そうです。先ほども言ったように作り方はいろいろあって、「どこから作りたい?」から始まるんですよ。サビから作るときは、8小節とか16小節くらいのループを流しながら自由に歌ってもらって。「今のいいじゃん」みたいなフレーズをメモしながら組み立てていく感じが多いかな。そのときに浮かばなかったり、「もっといけるね」というときはAyumuにビートを持って帰ってもらって、家で作ってもらうこともあります。

ーー今井さんから見て、Ayumuさんのメロディセンスの特徴とは?

今井:まず英語と日本語の“言語感”を両方持っていることですね。英語には英語のリズムがありますけど、そこに日本語を乗せるのがすごく上手い。かつて宇多田ヒカルさんが、バイリンガルである背景を活かして、「日本の作詞家だったら、そこの文節で切らないだろう」という歌を出して。楽曲の素晴らしさ、歌唱力やアティテュードによって、誰もが納得するヒット曲になったわけじゃないですか。Ayumuくんにも自身のメソッドというか、歌詞を書いている人が歌うならではの説得力があると思うんですよね。

Ayumu:そう言ってもらえると嬉しいです。メロディラインを考えるときは、英語詞を歌っているイメージなんですよ。特にダンスミュージックの場合はリズム重視というか、英語の歌詞がマッチするので。そこに日本語詞を入れるときは、(英語の)母音とか、発声するときの口の形にハマる言葉を探してますね。

今井:英語が話せるというだけではなくて、優れたリリシストなんですよね。日本語が流暢に話せても作詞家になれないように、英語がしゃべれることとリリックを書けるかどうかは別なので。Ayumuくんの歌詞を見ると、「プロの作詞家には書けないな」と思いますね。「このメロディにこれだけ文字数を詰めたら怒られそうだな」って(笑)。

Ayumu:(笑)。

今井:日本語と英語でライミング(韻)できるのもいいですよね。聴いてて心地いい。

Ayumu:ずっと洋楽を聴いてきたので、歌詞もサウンドとして捉えているところがあるんだと思います。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる