80s-90sの名曲をカバーするTokimeki Recordsの新展開、『透明なガール』とは? 緻密なストーリーとサウンドの魅力に迫る
アルバム『透明なガール』に向け続々リリースされるオリジナル楽曲
Spotifyの『RADAR:Early Noise 2021』にも選出されたTokimeki Records。 前述した「透明なガール ~Dye me~ (feat. ひかり)」のリリース以降、同月に「天気雨 ~Still Love me~ (feat. ひかり)」、7月に「小さな嘘 ~Callin' me~(feat. ひかり)」とオリジナル曲を立て続けに発表。8月10日には最新オリジナルシングル「Sweet Escape feat . ひかり」もリリースされた。冒頭のギターの一音、ひかりのアドリブ、歌い始め直前のコーラスパターンなどイントロから、個人的にはトキメキまくり。80年代フュージョン経由のシティポップ的なギターの音色、エレクトリックなベース、ファンキーなシンコペーションのリズムを研磨して令和のサウンドとバランスをとったように聴こえる。エレクトリック・ブギーを軸にした、緻密なビートも良い。音数の足し引き、歌い出す前にコードを変えるフックある展開など、サウンドのストーリー性もお見事。“ひと夏の恋”と“恋愛のトキメキ”を同時に感じさせる歌詞は〈Sweet Escape〉を何度も繰り返すことで、意味深なムードを醸し出している。この歌詞の“意味深”なアプローチは、言葉のチョイスこそ違えど、80年代シティポップの王道といっていい。一方で、〈走り出したら止まらない〉と、もう始まった恋を謳歌しているのがわかるワンフレーズも。このストレートさは、これまでのTokimeki Recordsにはなかったアプローチかもしれない。
ストーリーが加速する「Sweet Escape feat. ひかり」MV
また、「Sweet Escape feat. ひかり」のMVは、前述のような様々な手法でビジュアルイメージにもとことんこだわってきたTokimeki Recordsの真骨頂といえる。アニメーションやイラストでMVを制作した場合、歌詞に沿ったシチュエーションやモチーフが描かれたりすることは多いが、その手法を随所に取り入れつつも、さらに新たな視点での表現を加えている。これまでTwitterで展開されていた漫画などは、伏線だったのか……と深読みをするほど、何度も観たくなってしまう内容だ。原曲の歌詞からは見えなかった、古町ミナの人となりや感情の機微を、表情だけでなく、ファッションや私物のアクセサリーを挟み込むことで表そうとしている。これにはアニメーションMVに対する貪欲なチャレンジ精神と、80年代のシティポップを含む当時のカルチャーが持っていた独特のムードを熱心に研究し、そこから令和のカウンターカルチャーを見据えて作品を世に送り出そうという強い意志も感じられる。
秋には、初のオリジナルアルバム『透明なガール』のリリースも控えている。夜の帳の一歩手前、Tokimeki Recordsのマジックアワーはもう始まっている。さぁ、一緒に彼らが夜を始めるのを待とう。忘れられない夜を。
■リリース情報
Tokimeki Records
「Sweet Escape feat. ひかり」
2022年8月10日(水)リリース
配信リンク:https://tokimekirecords.lnk.to/sweet_escape
作詞 : 大和田慧
作曲 : Tokimeki Records,大和田慧
Arranged,Programmed by Tokimeki Records
Vocal : ひかり
Guitar : YUMA HARA
Mixed by : Julien Grandmontagne
Mastered by : Alexis Eychenne
Design : Issei Matsuda
Cover Model : 古町ミナ
漫画家 / Comic Artsit : march
Label:Namy& Records
<アルバム>
『透明なガール』
10月5日 配信リリース
■関連リンク
・Tokimeki Records
https://twitter.com/tokimekikanjite/
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・古町ミナ
instagram.com/komachimina
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