来日アーティストのライブチケットが高騰? 価格以上に重要な参加者側のアクションとは
今年6月に『Rolling Stone Japan』に掲載された『FUJI ROCK FESTIVAL』と『SUMMER SONIC』の運営スタッフ対談によれば(※2)、昨今の円安傾向について、以下のような危惧が語られている。
「ウチ(スマッシュ)もクリマンも、フジ/サマソニの予算立てを110〜115円で組んでいたと思うんです。でも、今は約130円じゃないですか(今年6月時点:7月14日には24年ぶりの138円台に突入)。10円とか15円とかズレてきちゃうと計算が全部狂うんですよね。(中略)経営にも相当関わってくる話だし、これ以上円安が進んだら、今までやってきたフェスみたいなラインナップなんて無理じゃんっていう」(スマッシュ宣伝/ブッキング担当・高崎亮)
上記の要因に加え、新型コロナもこれから第7波が来ると言われており、感染の拡大によっては延期または中止が相次ぐ可能性もある。こうした状況が続けば、チケットの価格はさらに上がっていくだろう。だからこそ、当面決まっている来日公演を、経済面(客入りやグッズ売上)でも安全面(感染や熱中症などの防止)でも成功させ、今後の展開に耐えられる基盤を確保しておくことが重要になるように思う。
だが幸いなことに、音楽ファン各自の情報感度は近年増してきている。クリエイティブマンやスマッシュ、FRUEのような尖鋭的な招聘者がリスナー啓蒙の先陣を切ってきた経緯があるのはもちろん、サブスク普及後の昨今は音楽ファン自身が各種プレイリストや海外サイトなどで情報を集めるスキルを高めており、その結果、攻めたラインナップの来日公演企画に対する食いつきも良くなってきている。
デビューアルバムを4月にリリースしたばかりのWet Legはその好例で、来年2月の来日ツアー最終日の東京公演はすでに完売。他にも、2回の延期を経て今年の5月に振替ツアーが実現したサンダーキャットは満員続出。8月のMåneskinや11月のBig Thiefは東京公演が完売しているほか、『SUMMER SONIC 2022』も東京・大阪ともにほぼソールドアウトとなっている。現状としては、需要と供給の関係は望ましい状態になっているように見えるし、良い供給が多いこのタイミングだからこそ、調べて興味が湧いた公演があれば行っておくべきだと思う。
※1:https://www.ticketmaster.com/billie-eilish-tickets/artist/2257710
※2:https://rollingstonejapan.com/articles/detail/37901