Nulbarich、リスペクト全開でぶつかり合った自由な音楽空間 ALI迎えた2マンイベント『New Freq. vol.01』

 音楽的には本当にさまざまな顔を持つNulbarichだが、この日はその中でもライブアクトとしてのダイナミズムと迫力にフォーカスするようなセットリストだった。ロックなギターから始まる「Lonely」ではアメリカンロック的な広大な風景を描き出し、ヤマザキタケルのピアノもベン・フォールズばりのエモーションを放っている。さらに「Break Free」で生まれたのは、80年代のスタジアムロックのようなスケール感。フロアから巻き起こる手拍子がその一体感をさらに補強する。さらに「ロック」としか言いようのないQUEEN「We Will Rock You」のあのリズムとともにビッグなコーラスが広がる「Stop Us Dreaming」へ。JQは言う。「誰も心の中の叫びは止められないんですよ、たとえマスクをしていてもね」。確かに大きな声で歌ったり歓声をあげたりはいまだできないが、それでも手拍子と身振りでオーディエンスは思いっきり「歌って」いる。そう言葉で表現するのは簡単だが、実際にステージから放たれるのと同じような熱量がフロアからも沸き出ている、そんな気がしたのだ。

 そして、このイベントならではのドラマが。「このクソみたいな2年間のおかげで、今日、毎日来ていたライブもなんか感じ方が違う。悲しい時も、楽しい時も、maybe it’s your life, right? 全部噛み締めて、最後にどんな味が残るのかを楽しみに生きていく。全部、全部、味わっていこう」。そんなメッセージとともに奏でられた代表曲のひとつ「Sweet and Sour」でJQがステージに呼び込んだのは、先ほどALIのステージでも洗練されたフロウを披露していたAKLOだ。JQにとっては多大な影響を受けた文字通りの“レジェンド”。AKLOのラップによってさらに強くなったこの曲のメッセージが、このイベントのメインテーマのように鳴り響いた。そして最後は「いちばん踊れる曲」と、「STEP IT」を繰り出す。その言葉どおり、高揚感あふれるビートで最高潮に。「ALI、これからも頑張れよ!」とALIにエールを送ると、Nulbarichは颯爽とステージから去っていった。

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