日向坂46、小坂菜緒復帰シングルがチャート首位 活躍広げるグループのストーリー性を彩る楽曲たち
カップリングの「飛行機雲ができる理由」は、男声コーラスやストリングスといったサウンドの要素は重なっているものの、メロディは淡くソウルフル。MVは、閉鎖が決定している女子寮が舞台で、フィルムカメラ、ラジカセ、寮の公衆電話といったアイテムと、映像の色合いがレトロさを醸しだします。
各形態ごとのカップリングも聴いていきましょう。TYPE-Aに収録されている「もうこんなに好きになれない」は、日向坂46フリーソウルの真骨頂。今回の本命と断言できます。オールディーズ風味の楽曲が、金村美玖、小坂菜緒、濱岸ひよりのボーカルの力強さ、あるいはせつなさを引きだしています。ブラックミュージックが好きな人には、本楽曲が収録されているという一点においてTYPE-Aを強く推薦します。
なお作曲は、1983年の「想い出がいっぱい」の大ヒットで知られるH2Oのなかざわけんじ。驚きました。編曲を担当した田中昇吾は、Twitterで「ナイアガラサウンド」と明記しており(※1)、大滝詠一ファンにも聴いてほしいサウンドです。
TYPE-B収録の「ゴーフルと君」は、トラップも鳴るプログラミングをベースにしたサウンドで、三期生が歌います。ラップもあり、今回の収録曲でもっとも今っぽいトラックです。MVでは、コスプレで登校して先生に怒られても、その格好のまま授業を受けて下校しているのがユーモラスです。
TYPE-Cに収録されている「真夜中の懺悔大会」を歌うのは一期生。ラテンを意識した楽曲で、2分24秒以降の展開には、ハリー・ベラフォンテの「バナナ・ボート」をも連想しました。
TYPE-Dに収録されている「恋した魚は空を飛ぶ」は、聴いたときに何事かと思ったほどの新機軸。卒業する渡邉美穂をセンターにした二期生の楽曲ですが、まさかのダンスチューンです。
通常盤に収録されている「知らないうちに愛されていた」は、「飛行機雲ができる理由」にも通じる曲調。今回はこの辺の楽曲をコンペで厚めに探したのでは……という邪推も働きました。メンバーによるシンガロングも美しい一曲です。
迷ったら、とにかく「もうこんなに好きになれない」が収録されているTYPE-Aを買うべき。そう大声で言いたいシングルが日向坂46の『僕なんか』です。
※1:https://twitter.com/CRaNE_Shogo/status/1531835640622395394