The DUST’N'BONEZが鳴らすロックンロールバンドとしての醍醐味と快感 12年ぶりの意欲作を語る
The DUST’N'BONEZが、12年ぶりとなる5枚目のニューアルバム 『Search And Destroy』を5月18日にリリースした。今作は、前任の森重樹一(Vo)に代わり、首振りDollsのドラマー兼ボーカリストのnaoを迎えたバンドの第2期の始まりを告げる一作。長きに渡る活動休止状態から解放されたようなハイエナジーなロックンロールを堪能できる作品となっている。新生ダスボンとしての活動からアルバム制作、そして7月から始まるツアーについて聞いた。(編集部)
時代を取り戻したい
――12年ぶりの新作が完成し、ついにThe DUST’N'BONEZ(以下、ダスボン)の第2期が始まるんだとワクワクします。
満園英二(以下、満園):いつものことなんだけど、活動が活発になるのはいいですね。戸城さんも丈ちゃん(坂下)もいて、よくぞnaoちゃんも歌ってくれたと思ってるし。
坂下丈朋(以下、坂下):めちゃくちゃ嬉しいですね。ダスボンはいい曲がいっぱいあって、これからも(戸城が)いい曲を書くだろうし。
戸城憲夫(以下、戸城):本当に思うのは、それこそもうバンドをやめててもおかしくないぐらいの年齢になっていて。だから、ミュージシャンとしての活動を続けてて良かったなって。
――久しぶりの活動というところで、肩に力が入りすぎるようなところもなく?
満園:妙に力むことはないけど、力自体は入ってますよ。戸城さんが書く曲の感じって、オレも長いこと活動してきたけど、他にいないんですよね。乱暴なアンサンブルっていうと語弊があるかもしれないけど、いつの間にかそういうスタイルでやる人も減ってきていて。自分的には激しいロックを叩くのがやりたかったから、またダスボンが始まるのはすごく嬉しかったし。
――2011年に森重樹一さんが脱退し、ダスボンは活動休止状態になったわけですけど、それ以降、いつかやりたいといった話はしていたんですか?
戸城:いや、お互いにそういう話はしたことがなかったんだけど、自分で作った曲ながら、個人的にはダスボンの曲は演奏したいなと思ってて。例えば、若いころにZIGGYで作った曲とか、やれば喜ぶ人も多いんだけど、個人的にはこっ恥ずかしいんですよね。
――自分の青さが見えてきたり。
戸城:そうそう。あとは懐メロっぽく感じちゃったり。でも、ダスボンの曲はまだその域には入らない自信があって。Guns N' Rosesの「Welcome To The Jungle」を聴いたら、今でも「かっけぇ!」って思っちゃうみたいな感じ。だから、プレイヤーとしてまたダスボンの曲は演奏したいなっていう気持ちが常にあったんですよ。
満園:オレもやっぱり曲や演奏がもったいないとは思ってて。森重さんのサポートドラムをしてたとき、ライブで「SILENT SCREAM」や「激情」をやって、曲がすごく生きてることを感じてましたから。
――そうなると、動き出すきっかけは何だったんですか?
戸城:たまたま、何のイベントか忘れたけど、3人が同じ現場になったことがあって。なんかダスボンになっちゃうじゃんみたいな雰囲気だったんですよ。で、そこにnaoくんがいたから、「歌ってよ」みたいな(笑)。
――かなりフランクな感じだったんですね(笑)。
戸城:オレの中で、歌えないヤツをバンドに入れるのが嫌で。前任者と比べられるのがいちばん嫌いだから、「いいじゃん、コイツ!」って思われるヤツじゃなきゃやりたくなかったんだけど、彼だったらイケるんじゃねえかなって。
――じゃあ、以前から温めてたアイデアというより、その場の流れというか。
戸城:そうそう。
――誘われたnaoさんはどう感じましたか?
nao:「いや、荷が重いです」と答えました(笑)。
一同:ハハハハ(笑)。
nao:前任者が森重さんというカリスマじゃないですか。すごくリスペクトしてるし、同じようなことはできないと思うから、違うベクトルでやらなきゃいけない。考えることが多かったんですよね。ただ、こんなにありがたい話はないし、すぐ決断はしました。
――首振りDollsではドラムボーカルですが、ピンボーカルというスタイルについては?
nao:以前、地獄ヘルズっていうバンドでそういう機会を戸城さんに与えてもらって、よく褒められて気を良くしてたのもあって(笑)、全然抵抗はなかったです。
戸城:それもあったんですよね。ドラムボーカルとしても素晴らしいけど、いちボーカリストとしてもいいパフォーマンスをするから。
――ドラムボーカルの人は、自分でリズムを操りながら歌ってる分、誰かのドラムに合わせて歌うことが難しいという話を聞いたことがあります。
nao:あ~、わかります。でも、ダスボンの場合って、背中を蹴っ飛ばされるぐらいドーンって音がくるし、細かい縦のリズムを気にしてる余裕がないんですよね(笑)。
――4人でスタジオに入ったときの感触はいかがでした?
nao:みんな、楽しそうでした(笑)。
坂下:デカい音を出せるのは気持ちいいですよね。
満園:ベースの音なんて、国内屈指のデカさだから(笑)。
戸城:英二も渋いおじさんとシャレたブルースっぽいことばっかりやってるから、目覚めさせないと、って(笑)。
満園:スパルタでしたね(笑)。でも、デカい音じゃないと得られない快感やカッコよさがあることが改めてわかりましたよ。
――そして、今回の新作ですけど、リフやバスドラ一発で非日常へ連れ去ってくれるロックンロールはやっぱりカッコいいなと再認識しました。
坂下:そう言ってもらえるのは嬉しいですね。
戸城:古き良き、「Detroit Rock City」(KISS)のイントロで燃えた少年時代、「Welcome To The Jungle」のギターリフで燃えた若いころ、そんな時代を取り戻したいというのがテーマですね。
――今でも聴き続けられるロックンロールナンバーですけど、バンドとしては意外と途絶えてますよね。
戸城:そうそう、ああいうロック兄ちゃんがね。
nao:いやいや、オレ、やってますよ(笑)!
一同:ハハハハ(笑)。
――たしかに首振りDollsがいました(笑)。でも、数自体は少なかったりもして。
nao:やっぱり、ああいうロックンロールをカッコよくやるのって難しいんです。こういうモノだ、っていうイメージが固まっちゃってるから。趣味レベルじゃなく、それをステージでカッコよくやれる人間はめちゃめちゃ少ないと思います。
――まとまった作品にしようというのは自然な流れだったんですか?
戸城:最初は5曲ぐらい作って、ミニアルバムでも出せれば嬉しいなと思ってたんだけど、やってるうちにどんどんできちゃって。
満園:戸城はクリエイティブの塊ですからね。
――具体的に作品を見据えた時期はいつぐらいでした?
坂下:昨年の夏にやった憲夫の誕生日イベントぐらいからじゃないかな? あのへんから本格的になってきましたね。
nao:そのときに「dust bunny」があったんで。
戸城:そこから「本当はもっとあるんだよ」みたいなことを言って。その時点だと3曲か4曲しかなかったんだけど、なんかどんどんできちゃったんですよ。
――実際に完成した新作の手応えはどうですか?
戸城:オレは作品のたびに毎度だけど、もう後悔と反省ばかり。
坂下:あぁ、オレもそうだな。
――作り手としてはそういう目線にもなりますよね。
戸城:時間が足りないのもあって。今やったら、もっと振り切れてたんじゃないかと感じたり。
nao:時間をもっとかけても同じことを言ってると思いますよ(笑)。
戸城:……まあね(笑)。
満園:戸城さんがこう言ってて、オレもすぐに次回作を作りたいと思ってるぐらいだけど、やりたいこと、出したいことは表せてると思う。
――制作を通じて、呼び起こされた部分もあったり。
満園:それはすごくありますね。それぞれが持ってるダスボン感のハードルは高いから、もっとこうしたい、ああしたいっていうのはあるけど、ダスボンらしい作品だし、naoちゃんの感じも強く出てるから、いいと思ってます。