Hakubi、SHE'Sとともにオーディエンスと力強く向き合った夜 『巴・粉塵爆発ツアー ファイナルシリーズ』東京編

 「ここにいるときはロックバンドがあなたを守ります」。静かに、しかしはっきりとそう言い切る片桐は毅然としているが、一方で「在る日々」では自身の弱さをさらけ出し、不安や諦観を歌う。サビやアウトロは親しみやすいメロディで、パーソナルな歌詞とのギャップも魅力的だ。

片桐

 「あの頃の自分が今のこの景色を見たらどう思うんだろう」とぽつりと呟き「あの頃に見えなかった誰かの優しさ、愛。あの頃とは違う、目の前にあなたがいること。目標にしたい人がいること、場所があること」と静かに口にしたのちに歌ったのは「夢の続き」。

 Hakubiの現在地によって、この楽曲の〈夢〉への距離や解像度、最後の〈僕らはまだ終わっていないよ〉の響きも大きく変化するのだろう。この日は夢の続きに突き進んでいくという野心だけでなく、愛や感謝といった温かい感情を噛みしめるような歌声で歌われた。

 「生きている意味がわからなくて音楽にすがっていたときの歌」と前置きし、「22」を太さのある歌声で響かせると、本編最後に披露したのは「悲しいほどに毎日は」。キャッチーなメロディとともに〈悲しいほどに毎日はあっけなく終わってく〉と繰り返すフレーズが会場に一体感を生み出す。オーディエンスとともに、終わりに向かうこの日の景色を目に焼き付けるようであった。

 アンコールでは、片桐が「竜馬さんが「在る日々」を歌ってくれて。私はSHE'Sの曲では「Ugly」と「Clock」が好きなんです」と話した後、「Clock」をワンフレーズカバーする場面も。優しく静かな歌いだしで「Sommeil」、「辿る」を披露、「HakubiとSHE'Sでもっと大きいステージに行って、ここLIQUIDROOMでツーマン見たこと、自慢させますよ!」と宣言して、全力のステージを終えた。

 「あなたのために」と一人ひとりに語りかける真摯な姿勢で感情豊かな歌を届けたHakubi。前に進めば進むほど、届ける人数が増えるほど彼女たちはさらに力強くオーディエンスに向き合うのだろうと思わせてくれる、パワフルな公演であった。

■セットリスト
<SHE'S>
1.Night Owl
2.Masquerade
3.Un-science
4.If
5.Letter
6.Ghost
7.Grow Old With Me
8.追い風
9.The Everglow

<Hakubi>
1.光芒
2.どこにも行けない僕たちは
3.Friday
4.Twilight
5.在る日々
6.アカツキ
7.intro
8.夢の続き
9.mirror
10.22
11.悲しいほどに毎日は

En1.Sommeil
En2.辿る

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