宮川大聖、“奇跡の連鎖”への感謝と約束 進化を目標に掲げたツアーで見せるハイクオリティなパフォーマンス

 「イダテンドリーマー」など、ダンサーを交えての息の合ったダンスと共に届けた楽曲は、このライブの見所の一つになった。爽快なEDMサウンドに乗せて、全身で熱さやエネルギーを表現した同曲。会場にはキラキラとした笑顔が広がった。軽快なステップと共にダンスを繰り出しながら歌った宮川は、息を切らさず声をブレさせることもない。たゆまぬ努力が、こうしたステージを実現させているのだろう。また、「Wonder」ではギタリストと背中合わせになってギターを弾くようなパフォーマンスも見せたり、本編ラストの「PARALYzE DAY」ではサビで“LOVE”を示す手振りで観客と楽しんだ。

 「みんなにとって特別な時間になればうれしい」と、アンコールは破格の6曲。手を左右に振って、日曜の昼下がりのような温かさに溢れた「曖昧」。森永製菓「DARS」チョコレートとのコラボ曲として書き下ろした「君色の魔法」では、客席に白色のペンライトが点灯しロマンチックな光景に。また「失い」では、ソウルフルなボーカルを存分に聴かせ、ダンサーとのペアダンスで楽曲の物語が表現された。

 そして、ピンスポットに照らされながらピアノ一本で歌った「明日が来るのが怖くて」。〈大丈夫、大丈夫〉と声を震わせるようにして歌う宮川に、客席からはオレンジ色のペンライトの光が掲げられ、宮川が「きれいな景色を見せてくれて、本当にありがとうございます」と応えた。

 最後のMCでは、もしも自分の父親と母親が出会わなかったら、もしも動画投稿アプリと出会わなかったら、もしもみんなが僕を見つけてくれなかったらと、いくつもの“もしも”を提示して、「僕の人生は奇跡の連鎖でできている」と語った。「みんながくれた一瞬一瞬の奇跡に感謝している。応援して良かったと思ってもらえるアーティストを目指します」と、ファンに約束した。

 最後には宮川自身が作詞・作曲した大切な曲と語る「Paper Moon」を歌った。ゆったりとした温かいムードのサウンドと共に、過去を受け入れ、前を向くことを決意した、宮川の覚悟と感謝が歌声からにじむ。笑顔で手を揺らす観客。最後に心を込めた会釈でライブを終えた。

 宮川大聖の歌と音楽の魅力が、ストレートに表現されたライブ。昨年は活動休止していた時期もあり、それを踏まえてツアータイトル「ReSTA」には「リスタート」の意味も含まれるそうだが、そうしたブランクは全く感じさせない、クオリティの高いパフォーマンスで観客を魅了。Z世代だけの人気者にしておくにはもったいないと思わせる、歌声とボーカルセンスが光っていた。

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