内田真礼、鬼頭明里、石川由依、towana……カバーソング企画『CrosSing』で堪能する名演の数々
石川由依「いのちの名前」
『進撃の巨人』(NHK総合)のミカサ・アッカーマンや、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(TOKYO MXほか)の主人公、ヴァイオレット・エヴァーガーデンなど声優として数多くの話題作に出演している石川由依。子役として劇団ひまわりに所属し、ミュージカル・舞台の場でも活躍してきた実力派だ。
そんな石川が「自分の声に合っている」と選んだのが、映画『千と千尋の神隠し』のテーマソング「いのちの名前」だ。シンプルなピアノサウンドのバラードで、歌い手のストレートな歌唱力が試される、ごまかしのきかない楽曲だが、石川自身が言う通り、透明感と情感のこもった歌声との相性が抜群にいい。その歌声によって、歌詞の描き出す夏の日の情景や、映画のシーンが脳裏に浮かぶようで、石川の楽曲への解像度の高さも感じられる。オリジナル曲と同じスタジオでのレコーディングだったそうで、どこか運命的なものも感じさせる、満足度の高いカバーに仕上がった。
towana「そばかす」
最初の歌い出しから「お!」と思わせられたのがtowanaの「そばかす」。TVアニメ『小林さんちのメイドラゴンS』(TOKYO MXほか)のOP主題歌「愛のシュプリーム!」などが大きな話題となった音楽グループ fhánaのボーカルだ。高音が特徴の個性的な歌声は、賑やかなサウンドの中でも存在感を発揮する。
そんなtowanaがカバーした「そばかす」は、JUDY AND MARYの名曲としても、アニメ『るろうに剣心』のOP主題歌としても知らない人がいないほどの、色褪せない人気曲だ。ボーカル・YUKIのパワフルでいて愛嬌のある歌声が大きな魅力であり、それゆえに歌声自体の強さがないと楽曲のパワーに飲まれてしまう難しさのある曲でもある。オリジナルが有名なだけに「自分がこの曲を歌っていいのかな?」という葛藤もあったそうだが、towanaはその耳に残る特徴的な歌声を武器に見事に自分のものにしてみせた。
インタビューの中でtowanaも語っているが、ただカラオケのように楽曲を歌うのと、オリジナルをベースとしつつ、カバー曲として成立させるように歌うことには大きな違いがある。CrosSingというプロジェクトでは、「声」に力を持つアーティストたちが試行錯誤し、「自分がカバーする意義」を持つ新たな作品を次々に生みだしている。今回の4人だけでなく、次なるアーティストもすでに発表済みだ。彼らがどの曲を選び、どのように「自分の作品」に仕上げていくのか、楽しみはまだまだ続く。