LE SSERAFIM、強い意思を持った6人が未来へ突き進む 堂々たるコンセプトを示したデビューショーケース

 トーク後はタイトル曲である「FEARLESS」のMVとライブパフォーマンスが披露された。「FEARLESS」は生っぽいベースのリフとグルーヴィなリズムが調和した、ポップパンクとEDMが融合したようなオルタナティブポップな曲だ。 中毒性のあるリズムの繰り返しで〈欲を隠せという君の言葉はおかしい/謙遜の演技なんてもうしない〉(和訳)という歌詞を通じて、過去を恐れずに未来に向かって進むという抱負を表現したり、〈何を見ているの/あなたが何と言おうと怖くない/結局私が勝つ〉(和訳)という強気な歌詞も印象的だが、ボーカル自体は意外なほど柔らかく優しく響く。同曲にはパン・シヒョク総括プロデューサーが作詞とプロデュースで参加している他、BTS「Life goes on」を作業したシンガーソングライターのBLVSHや、アメリカのポップアーティスト=デスティニー・ロジャースも参加している。

 パフォーマンス後は再びトークがあり、アルバム『FEARLESS』についての説明が行われた。「強くなりたい、最高になりたいという欲望に従って、誰も行ったことのない旅路を始めるLE SSERAFIMの物語が込められている」(SAKURA)、「アルバムの歌詞やコンセプトは私たちと制作チームで話し合って決めたもの」(KIM CHAEWON)、「ティザーのメンバーソロ動画の振り付けはメンバーそれぞれが考えた」(KAZUHA)などと語られたように、メンバー自身の考えや表現したいことを盛り込み制作されたアルバムで、タイトル曲「FEARLESS」と収録曲「The Great Mermaid」の制作に参加しているパン・シヒョクの陣頭指揮の下、オルタナティブポップ、ディスコパンク、R&Bなど多様なジャンルを聴くことができる。

 アルバムのハイライトメドレー映像の後は、収録曲「Blue Flame」のパフォーマンスが披露された。この曲は2021年11月にHYBEのブリーフィングカンファレンスの中で発表された、所属グループとコラボしてWebtoonなどで展開するオリジナルストーリーシリーズのひとつ「Crimson Heart」のテーマ曲だ。作詞にKIM CHAEWONとHUH YUJINが参加しており、統制された都市・レフュージアで育った6人の少女が、ある日欲望を象徴する「青い蛍」に従って魔法の荒野である「UNKNOWN」に向かうという物語が盛り込まれている。流麗なメロディが神秘的な雰囲気を醸し出すディスコパンクスタイルの曲で、物語のイメージを象徴するような制服風の衣装で躍動感のあるパフォーマンスを見せてくれた。

 パフォーマンス後の質疑応答ではさまざまな質問がやり取りされた。「アルバムに込められた自分たちの話とはどのようなものか」という質問に、KIM CHAEWONが「私とSAKURAさんはIZ*ONEにいましたし、HYBE初のガールズグループということで受ける視線も多かったんですが、過去にはとらわれず、世間の視線に惑わされず行きたいという意味を溶け込ませました。自分の意思を持ってLE SSERAFIMとして新しい姿を見せたいという意気込みも込めました」と回答したり、「韓国でまた新人としてデビューすることを選んだのは何故か」という質問に対して、SAKURAが「すべての活動が終わった後、またグループ活動をしたいという気持ちとアーティストとして世界を発掘したいという気持ちがあり、そんな時に話を伺ったSOURCE MUSICの目指すものが自分の考えとかなり重なる部分が多かった」と回答するなど、LE SSERAFIMとしての新しい活動への意気込みが感じられた。

 LE SSERAFIMのコンセプトには「他人の視線を気にせず自分自身に集中する自然で超然とした態度」「客観的な自己認知を通して他人からの評価に振り回されない堅固な自己確信」「自分の可能性への信頼を基に最後まで成し遂げようとする意欲と情熱」というような意味が込められているが、これはいずれも新人でありながら、すでにさまざまな注目を集めるメンバーが多いグループだからこそ成り立つコンセプトと言えるだろう。

 質疑応答中にあったKIM GARAMへの際どい質問も、リーダーのKIM CHAEWONが代わって回答したりと、デビュー経験組が初デビュー組を上手くフォローする、新人らしからぬグループとしての出来上がり方が印象的だった。

 ラストではHUH YUJINが英語で、KAZUHAが日本語で、海外メディア向けにコメントをする場面もあり、KIM CHAEWONがリーダーらしく場を締めた。新しいイメージやエネルギッシュなパフォーマンスを見せてくれると同時に、すでに知られたメンバーが含まれているグループしかできないような攻めつつも落ち着きのあるアルバム曲の構成など、LE SSERAFIMならではのカラーを見せてくれたショーケースとなった。

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