ラストアイドル、最初で最後のアルバムがチャート首位 メンバーの語りと鮮やかなメロディで描かれる“これまでの物語”
参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2022-05-09/
2022年5月9日付のオリコン週間アルバムランキングで首位を獲得したのはラストアイドル『ラストアルバム』で、推定売上枚数は61,626枚。トップ3はいずれも初登場で、2位 ブラックスター -Theater Starless-『BLACKSTARIII』(15,644枚)、3位 江口拓也『EGURand』(13,637枚)と続く。いつもトップ10はおよそ3位くらいまでが目立った売上枚数を見せ、以下はやや差が開いていた印象があるが、今週はラストアイドルが6万枚強で存在感を示したほかはゆるやかに作品が連なっている。
ちなみに、トップ10圏内の初登場作品を列挙しておくと、4位 EXILE ATSUSHI『ONE』(12,188枚)、5位 小渕健太郎(コブクロ)『ツマビクウタゴエ2』(9,445枚)、6位 『「ウマ娘プリティーダービー」WINNING LIVE 06』(9,002枚)、8位 フィロソフィーのダンス『愛の哲学』(7,855枚)、10位The Brow Beat『404』(4,703枚)となる。9位宇多田ヒカル『Fantôme』(5,487枚)は初登場扱いとなっているが、周知の通りもともとは2016年リリース。さきごろ発売されたアナログ盤がCDとは別集計となり、初登場としてカウントされている(宇多田による他のアナログリイシューも同様の扱い)。同じく宇多田ヒカル『BADモード』が8,896枚を売り上げて7位に浮上しているが、オリコンの商品詳細ページ(※1)を見る限り、こちらはアナログ盤の売上分も加算されているようだ。
さて今回取り上げたいのは、首位のラストアイドルによる1stアルバム『ラストアルバム』。2017年に秋元康企画の同名のオーディション番組からスタートしたラストアイドルだが、2022年5月末をもって活動を終了することがすでに発表されており、タイトルの通りこれが最後のアルバムとなる。公式発表によれば、活動終了は「2020年初頭に発生したコロナ禍で思うような活動ができず、それぞれのメンバーの将来やこの先のグループの未来などを総合的に判断」した結果だという(※2)。もはや新型コロナ禍も3年目に入り、良かれ悪しかれこの状況が「当たり前」になりつつあるなかで、改めてその影響の大きさを感じる一報だった。
そんな状況でリリースとなった本作。これまでのシングルの表題曲11曲に新曲4曲、イントロやインタールード等々を交えた全19曲が収録されている。曲順はリリース順をなぞり、新曲を経てラストにデビュー曲「バンドワゴン」の別アレンジ(Strings Ver.)が最後に収録されている。アルバムとしてはサブスクでも配信されているものの、「プロローグ」「インタールード」「エピローグ」はグレーアウトされていて聴くことができない。しかし、その「プロローグ」「インタールード」「エピローグ」こそが本作をラストアルバムたらしめている。これらはすべてメンバーによる語りで、ラストアイドルというアイドルプロジェクト自体の回想録のようなつくりになっている。これを踏まえると、表題曲をシンプルに時系列で並べる構成もドキュメンタリー(実際にはモキュメンタリーと呼ぶべきなのだろうが)のように感じられる。