Omoinotake、結成10周年の日に巡った原点・渋谷の街 オンラインストリートライブの模様をレポート

福島智朗

 演奏が終わり、再度バスが動き出す。渋谷の街を見ながら、「ストリートのとき、ここに車を停めてた」「この道よく通ってた」「1曲も終わらないうちに移動させられたこともあった」とエピソードトークが止まらない3人。渋谷という街や1回1回のストリートライブを大事にしていたことがよく伝わってくる。メジャーデビューまでの10年間は短くないし、大変なこともたくさんあったと思う。それでも彼らが突き進んできた10年間は決して間違いではなかったと、夜の渋谷を見つめる3人の背中を見て感慨深くなった。

 とある場所に到着し、バスを降りたメンバーたちが移動のためにカメラの前から姿を消す。そして再び3人が現れた場所は、渋谷の街を見渡せるヒカリエに作られた特設ステージだ。「『#NoBuskNoLife』では初披露」という前振りのもと、メジャーデビュー曲「EVERBLUE」がプレイされた。福島もクラップを鳴らし、画面の向こうのリスナーに向けて盛り上げていく。爽快感溢れる開けたメロディラインと共に鳴らされるベースのスラップやホーンサウンドが、曲をより壮大に彩った。

 ヒカリエステージの2曲目は「東京」。島根県出身の彼らが上京してからの10年の想いを綴ったバラードナンバーだ。しっとりとしたAメロからサビにかけてドラマチックに展開する曲調に乗せて東京への思いが綴られるのだが、ストリートライブ時代やメジャーデビュー時のことを振り返った直後だからか、いつも以上に胸に込み上げてくるものがある。特に締めの歌詞にある〈終点のない道 過去と未来 想う街〉という部分は、まさにOmoinotakeと東京の関係性を象徴するにふさわしい言葉だとしみじみ感じた。

 ラストに奏でたのは最新曲「心音」だ。映画『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』の主題歌として、一緒に未来へ向かっていく想いを歌ったラブソングだが、今回はまるで彼らとファンの関係性を歌っているのではないかとも感じられた。バンド結成時からのことを振り返りファンとの絆を改めて感じた彼らは「10周年を迎えられたのは皆さまのおかげです」と最後に感謝を伝えた。Omoinotakeは、「『紅白』に出る」という目標に向かってこれからもファンと歩みを進めていく。

Omoinotake オフィシャルウェブサイト

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