Saucy Dogに続くブレイク株は? moon drop、マルシィ、ねぐせ。……ラブソングで心を掴むバンドたち

 3人組ロックバンド Saucy Dogが今アツい。2021年8月リリースの『レイジーサンデー』収録曲「シンデレラボーイ」が音楽番組出演をきっかけにさらに注目を集め、リリースから半年経って「Billboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”」のトップ10内に浮上。新曲「魔法にかけられて」がABEMAオリジナル恋愛番組『恋する♡週末ホームステイ 2022春』の主題歌に起用されるなど、確実に音楽シーンを賑わす存在になりつつある。

 「シンデレラボーイ」や「魔法にかけられて」、ストリーミングで人気の「いつか」や「結」に共通しているのは、どれも恋愛における男女のリアルな心情を描いた歌だということ。もちろん、Saucy Dogは恋愛ソングだけを歌っているわけではないが、「魅力的な恋愛ソングを歌うバンド」としての地位を確立しているのは間違いないだろう。

 それでは、そんなSaucy Dogに続くのはどんなバンドだろうか。今回、魅力的なラブソングを歌うバンドに焦点を当て、次のブレイク株を予想してみたい。

moon drop

 まず注目したいのが、三重県伊勢市発4人組バンド moon drop。彼らが自らを「愛だの恋だのラブソングだけを歌い続けるバンド」と称している通り、これまでにリリースされた曲はすべてラブソングで占められている。

 2021年には“季節の恋模様を描くラブソング三部作”と題して、8月、10月、12月と2カ月ごとに新曲をリリース。中でも2作目にあたる「リタ」は人気曲となっている。〈会うまでの数時間/あんなに緊張したこと/ずっと忘れないでいたい〉といった、恋をする中で何気なく感じる心情の描き方が巧妙で、浜口飛雄也(Vo/Gt)の優し気な歌声も相まって多くのリスナーの共感を得ているのだろう。

moon drop【リタ】Music Video

 また、中部7県 Honda Cars CMソングに起用された「ラストラブレター」のように、メンバー自ら奏でるバンドサウンド以外に、ピアノやストリングスを交えたアレンジに意欲的なのもmoon dropの特徴だ。間違いなく、今後のバンドシーンを牽引する存在になると予測する。

moon drop【ラストラブレター】Music Video

マルシィ

 日頃からバンドシーンを追っている人たちの中で、今急速に認知を拡大させているのがマルシィではないだろうか。2022年3月23日に配信リリースされた「最低最悪」の公式MVが、公開からわずか2週間ほどで50万回再生を突破。以前からLINE MUSICの「邦楽Rock Top 100」やSpotifyの「バイラルトップ50」に楽曲がチャートインするなど早耳リスナーには注目されてきたが、ここに来てさらに勢いを加速させている様子がうかがえる。

マルシィ – 最低最悪 (Official Music Video)

 「最低最悪」こそアップテンポなナンバーだが、マルシィのこれまでのリリース作品を見ていくとスローテンポの曲が多い。別れを告げた相手を〈硝子の棺で眠る君を/救うのは僕じゃないのに〉と白雪姫に例えた「白雪」、離れて暮らす恋人に対し〈小指で結んだ糸の隣に/いつか指輪を〉と静かな決意を歌った「ワスレナグサ」など、ドラマチックな展開を見せる歌詞も聴き手の心を掴んでいるポイントだろう。物語性のある歌詞が、柔らかく包み込むようなバンドサウンドにのせて歌われることで、より歌詞の世界観に引き込まれるようになっている。

マルシィ - 白雪 (Official Music Video)
マルシィ - ワスレナグサ (Official Music Video)

 3月27日に渋谷WWW Xで行われたワンマンライブにて、<ユニバーサルミュージック>からのメジャーデビューを発表したマルシィ。さらに、6月1日にはメジャー1stアルバム『Memory』のリリースも予定している。今夏新たなスタートを切るマルシィに、これからも目が離せない。

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