ソフィア・カーソン、デビュー作から聞こえる美しい歌声 『ディセンダント』でのブレイクからキャリアを振り返る

 もし、『眠れる森の美女』や『白雪姫』といった歴史的なディズニーの名作群に登場するキャラクター、それもヴィランに“子孫”がいたら? しかも親の影響や罪を背負いながらも、自分らしく懸命に生きようとしているとしたら?

 そんなコンセプトの元に、『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』や『ハイスクール・ミュージカル』などで知られるケニー・オルテガが監督及びエグゼクティブプロデューサーを務めたミュージカル作品が『ディセンダント』だ。2015年に初作がディズニー・チャンネルで放送され好評を博してからというもの、現在までに3作品が制作されている。

 キャストのほとんどは本作のために発掘された若い才能たちであり、放送当時はほとんど無名に近い存在だった。だが、ケニー・オルテガの審美眼に誤りはなく、本作での活躍をきっかけに様々な俳優たちがブレイクを果たしている。その中でも、『白雪姫』に登場する白雪姫の継母、イーヴィル・クイーンの娘であるイヴィ役を演じるソフィア・カーソンはその筆頭格と言えるだろう。J.バルヴィンやGalantisといった著名なアーティストとのコラボを経て、遂に待望の1stアルバム『ソフィア・カーソン』がリリースされた。

ソフィア・カーソン 待望のデビュー・アルバム『ソフィア・カーソン』 和訳付きアルバム予告動画 / Sofia Carson

 1993年生まれ、フロリダ出身で現在28歳のソフィアは、オリヴィア・ロドリゴといった、若くして成功を収めたディズニー・チャンネル出身のスターたちと比較すると、もしかしたら遅咲きと思われてしまうかもしれない。というのも、ソフィアが本格的に役者として歩み始めたのはロサンゼルスの大学へと進学してからのことであり、大学生活を過ごしながらオーディションに足繁く通う中でチャンスを手にしたのである。だが、10代前半、あるいはさらに若い人々と並んでディズニーのオーディションに参加することで、それがかえって他の人とは異なる経験を積んできた、成熟したものとして自分自身の存在をアピールすることができたのだ

 その活動については、(演じる役柄を含め)ある種の“責任感”を持って取り組んでいるような印象が感じられる。そもそも『ディセンダント』におけるイヴィの位置付けは、「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」の台詞が示す通り、見た目の美しさに執着したことによって罪を犯してしまった人物の娘である。イヴィもその偏った考え方の被害をダイレクトに受けており、だからこそ彼女は“同じ過ち”を犯さぬよう、鏡に映り込む見た目以外の美しさを称え、自分らしく生きるための戦いへと飛び込んでいく。それは物語だけではなく、画面の向こう側に存在する若者たちへのメッセージとしても強い意味を持っており、そのことをソフィアもはっきりと自覚していたのではないだろうか。

Descendants Cast - Rotten to the Core (from Descendants) (Official Video)

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