ZAZEN BOYS×CHAI、世代を超えた共演は特別なステージに 2組の遊び心が衝突したツーマンライブ

 ZAZEN BOYSとCHAIによる対バンイベント『うるさがた Vol.2』が、4月17日に豊洲PITで開催された。CHAIが2月にリリースした世界5カ国のミュージシャンとコラボレーションしたEP『WINK TOGETHER』収録曲「ACTION(with ZAZEN BOYS)」で共演している両者。世代を超えたオルタナティブなバンド同士のツーマンライブは、それぞれのエンターテインメントを魅せるステージにもなった。

 今年2月〜3月には、2年ぶりとなる北米でのヘッドラインツアー『WINK TOGETHER NORTH AMERICA TOUR』を行なったCHAI。途中、衣装や物販を積んだトレーラーが盗難被害にあったものの、Mitskiのワールドツアーのサポートアクトを含め見事完遂した。今回の『うるさがたVol.2』は、アメリカから帰国後、1発目となる日本でのライブだ。「NO MORE CAKE」でスタートしたライブは、ユナ(Dr/Cho)のクールなドラミングとエレクトロサウンドに乗せて、マナ(Vo/Key)、カナ(Vo/G)、ユウキ(Ba/Cho)がダンスし、続く「ACTION」では4人のポップなフォーメーションダンスでステージを賑やかに彩る。シンセとキャッチーなコーラスは中毒性たっぷり。動くたびに大きく揺れるカラフルな衣装もあいまって、観客の視線を一気に奪う楽しさに溢れている。続いて白の衣装にチェンジすると、ステージ上の自由度はさらに増し、メンバーはフレキシブルにシンセやパッドをプレイ。チアフルなシンガロングで盛り上げる「Nobody Knows We Are Fun」や「チョコチップかもね(feat. Ric Wilson)」のメロウなグルーヴで観客の体を揺らしたかと思えば、自己紹介ラップや「END」ではアグレッシブな人力ブレイクビーツに乗せ、マナとカナが双子ならではのシンメトリーな動きを見せる。心地よい体感と、視覚的なシュールさが溶け合い、なんとも白昼夢的な味わいだ。

 後半には、ドラマ『恋せぬふたり』(NHK総合)の主題歌「まるごと」がライブ初披露された。CHAIの歌心が引き出され、丁寧に言葉を紡ぎ上げていくこの曲は、ポップでシアトリカルなライブに陰影を与えていく。これからのライブでも新しいドラマを生んでいきそうな曲だ。4人は、改めて久しぶりの日本のステージでZAZEN BOYSとのツーマンができた喜びをMCで語ると、ラストはパンキッシュなアンサンブルで「N.E.O.」をかき鳴らし、マナはステージを跳ね回るようにして声のボリュームを上げる。観ているだけでもエネルギーがどんどんチャージされていく、そんな明るく自由な4人の姿が眩しいステージだ。

 SEはなし、観客の大きな拍手に迎えられたのはZAZEN BOYS。4人が楽器を手に取りチューニングをする間、フロアには期待と興奮がないまぜとなった緊張感が漂う。「MATSURI STUDIOからやって参りました、ZAZEN BOYS」。向井秀徳(Vo/Gt)の口上と松下敦(Dr)のキレのいいドラムが会場を覆う緊張を爆発的に破り、ボルテージの高いアンサンブルがフロアを興奮で染めていく。息を飲み、そして全身に血が駆け巡るような感覚を味わえるのがZAZEN BOYSのライブの醍醐味であり、また向井、松下、吉兼聡(Gt)、MIYA(Ba)が阿吽の呼吸で生み出すスリリングなバンドアンサンブルにも、フロアをぐっと前のめりにさせる力がある。タテにヨコにと縦横無尽なビートに、リフや変則的なリズムによる緩急は観客の呼吸までもコントロールし、徐々にタガが外れるように熱を帯びていく会場の空気は生のライブならでは。「Honnoji」「Weekend」と続き、そして「COLD BEAT」での鋭利で複雑に絡み合うアンサンブルに観客も拳を上げ、松下のダイナミックなドラムプレイにMIYAのスラップが重なると拍手は大きくなった。

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