宮脇咲良、ソミ……なぜ『プデュ』シリーズ出身グループのメンバーは解散後も活躍できるのか

 このように、今や国境やジャンルを越えてシーンをリードする存在となっている彼女たち。そこにはやはり、『プデュ』シリーズの注目度はもちろん、グループ活動時の影響も大きく関わっているだろう。

I.O.I「Very Very Very」

 シリーズ初代の『PRODUCE 101』から輩出されたI.O.Iは、振り返ってみても「これほど粒ぞろいのメンバーが集まってグループ活動していたなんて」と改めて驚かされるほど、各自ソロアーティスト並みの実力と個性を持ち合わせたメンバーが集った。彼女たちはわずか10カ月という短い活動期間中に、ミニアルバム2枚とデジタルシングル2曲を発売。「Very Very Very」など現在も歌い継がれるヒット曲を生み出し、“怪物新人”という異名を持つビッググループとなった。

IZ*ONE「La Vie en Rose」

 その後、2018年には韓国の練習生と日本のAKB48グループメンバーが参加した『PRODUCE 48』からは12人組グループ IZ*ONEが誕生。すでに日本で活躍していた宮脇咲良・矢吹奈子・本田仁美と、韓国で練習生生活を重ねてきた9人のメンバーがみせる協働、そして優美で華麗な世界観とそれを体現する彼女たちの姿が、唯一無二のアイデンティティとなり世界中のファンを虜にした。二年半の活動期間が終了する際には、ファンダムのみならず多くのK-POPフォロワーから惜しまれる声が上がったことも記憶に新しい。

 それぞれの目ざましい活躍により「この先もずっと見ていたい」と人々に強く感じさせつつも、所属事務所の垣根を越えたプロジェクトという側面があるため、“期間限定”で活動終了日を迎えてしまう『プデュ』発グループ。

 さらに『プデュ』シリーズは各国語版に翻訳放送されたことに加え、冒頭で触れた通り日本や中国などでローカライズ版が製作され人気を博していることから、オーディション放送当時は観ていなかったという韓国以外の国の視聴者が後追い視聴し、各グループの魅力を“再発見”していくという流れも生まれた。

 こうしたことからも、グループ活動を終えた彼女達によるその後に大きな注目が集まることは自然な流れと言えるとともに、国や地域を限定しない進路の選択肢が設けられたことも納得できる。I.O.I、IZ*ONEを離れた各メンバーが放つ輝きは、グループの時とはまた異なったものであることも印象的だ。特にソロアーティストとなった者は、グループ活動時にみせていた魅力の片鱗を、それぞれの作品で存分に発揮させている姿が眩く映る。

 最近では、そんな彼女たちを“ロールモデル”に挙げる者も多い。他の女性歌手へのアドバイスを求められたチョンハは「私があえてどんな言葉をかけていいのか分からないが、自分を追い込むことはしないでほしい。ひとつのことだけを見て走ると、近すぎて見逃すことも多い。ゆっくり進んでも大丈夫(※1)」という言葉を贈っていた。すでに彼女たちは、いちアーティストとしてリスペクトを寄せられる存在となっているようだ。今後もシーンへ影響をもたらすであろう彼女たちの躍進に大きな期待を寄せたい。

※1:https://www.kbsworld.ne.jp/entertainment/view?blcSn=56921&rowNum=4

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