ネクライトーキー、1年半ぶり日比谷野音は贅沢な夜に ユーモアと抜群のスキルを詰め込んだ怒涛のライブ

 ネクライトーキーが東阪野音ワンマン『ゴーゴートーキーズ! 2022 野外音楽堂編』を開催した。彼らが野音でライブをするのはおよそ1年半ぶりの2回目。大阪城音楽堂公演を無事に終えた1週間後となる、4月10日の日比谷野外大音楽堂は、雲ひとつない晴天。開演前から最高のライブになることを確信した。

 陽が傾く時間帯の野音に、「ようこそ」と散りばめられたコミカルなSEが流れ、気合十分なメンバー5人が登場。この日のオープニングナンバーは「Mr.エレキギターマン」だ。すでにツマミを全開にしたメンバーたちが、日比谷に盛大な音を響かせていく。「ネクライトーキーです、よろしくー!」ともっさ(Vo/Gt)が元気に挨拶し、「はよファズ踏めや」へ。キャッチーなメロディの裏で鳴らされる骨太なベースの低音も心地よい。続くリズムに合わせてメンバーが身体を左右に振る動きでお馴染みの「北上のススメ」では、オーディエンスも身体の向きを変えたりクラップを鳴らしたりして、一緒になってライブを作り上げていく。ネクライトーキーの楽曲はいつ聴いても気分を高めてくれると実感しながら、私自身も身体を揺らして楽しんでいた。そのままアッパーな「ジャックポットなら踊らにゃソンソン」に繋げ、さらに会場の熱を高めていく。「声は出せずとも聞こえてきます、あなた方の心のワウペダル。好きなだけ踏み倒してこの曲を楽しんでください」と朝日(Gt)が言って披露したのは「誰が為にCHAKAPOCOは鳴る」。朝日のワウのかかったギターサウンドが絶妙にマッチするメロディで、自然と踊りたくなる。サビの〈HEY CHAKAPOCO〉の部分でリスナーの掲げる拳との掛け合いもバッチリだった。

 キーボードの明るいメロディと共に前を向かせてくれる「涙を拭いて」、“何してんねんお前”のアナウンスで始まる「踊る子供、 走るパトカー」のあと、夕暮れの時間帯には、「夕暮れ先生」をドロップ。ブレイクを挟んだあとのラスサビで、もっさが徐々に声を大きくし、叫ぶように歌った姿が最高にロックだった。

 「今日はワンマンライブということで、曲をいっぱいやります」というMCが終わるころには陽が落ち、照明演出も合わさった夜の部に突入。「久しぶりの曲やります」という前振りで奏でられたのは、藤田(Ba)のウォーキングベースが光る「ボケナスのうた」。色とりどりのライトに照らされながら、朝日がジャンプしたりカズマ・タケイ(Dr)がスティックを掲げたりと、メンバーたちも思うままに楽しんでいるのが伝わってくる。勢いそのままに「カニノダンス」に繋げ、会場をさらにネクライトーキー節に巻き込んでいく。サビ前のベース、ギター、ドラムが徐々に重なっていくコンボもさすがだ。アウトロからそのまま「こんがらがった!」へ繋げる滑らかさも秀逸で、ノンストップで曲を次々に畳み掛けていく。

 中盤ではライブ定番曲「許せ!服部」を投下。序盤は音源よりも気持ちゆったりなテンポ、そしてやや渋めの声で歌い始める。曲の途中でもっさがステージ袖に一瞬姿を消し、戻って来ると、その手には「ライブ」「CD」と書かれた2枚のプラカードが。もっさが掲げるプラカードによって、ゆっくりテンポのCD版演奏とハイテンポのライブ版演奏が切り替わるという仕組みだ。この演出はネクライトーキーの定番ではあるのだが、切り替えがとにかく圧巻。いくら事前にタイミングを打ち合わせしていたとしても、この緩急ある曲をぴったりと合わせられるのは、神技と言っても過言ではないはずだ(しかも両方を掲げるパターンもあるのだからすごい)。曲後半の藤田のベースと中村郁香(Key)のキーボードによる掛け合いや、カズマ・タケイのエネルギッシュなドラムソロと、瞬きをする時間さえも惜しいと思うような怒涛のパフォーマンスが繰り広げられた。

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