NMB48 川上千尋、小嶋花梨、隅野和奏、瓶野神音……波乱に次ぐ波乱を呼んだ『NAMBATTLE2~愛~』を振り返る

小嶋花梨「私自身の言葉でNMB48を秋元康先生に売り込む」

小嶋花梨

 最後に差し切られた小嶋は、2位で名前を呼ばれたときも笑顔。マイクの前に立つと「NMB48を元気と笑いと愛で溢れるグループに変えて、世界中で愛されるアイドルグループにしたいです」と目標を掲げた。しかし、少しずつ感情が込み上げ、「みなさんが求める綺麗な姿だけではないかもしれませんが、がむしゃらに頑張るしかない。現状を本気で変えようと思います。そして私は、私自身の言葉で、秋元康先生に売り込みに行きたい。NMB48の再構築の第一歩になれば良い。今の私の言動で失うものもあるかもしれません。でもNMB48と本気で向き合う覚悟でここまできました」とグループの変革を訴えた。

 悔しさを隠しきれずに大粒の涙を流したのが上西怜。川上、小嶋とデッドヒートを繰り広げていたが、3位という結果に終わり「26枚目のシングル(『恋と愛のその間には』)でダブルセンターだった梅山恋和ちゃんの分まで、私がNMB48を引っ張っていかなきゃいけないと思っていました」と前日に卒業した同期の名前を挙げ、「1度、センターに立たせていただいたからこそ、このバトルでファンのみなさんとセンターを掴み取らなきゃいけないと思っていました。でも私にはまだその場所に立つには足りないことばかりだったんだと、改めて気づくことができました」と頬を濡らした。

上西怜

 全国区で活躍する渋谷凪咲は5位でフィニッシュ。手渡された花に鼻を近づけて「5位の香りがします」と笑わせたが、スッと表情が変わり「投票系のイベントが苦手で申し訳ない気持ちがあって、自分から頑張りますと言えませんでした。でもファンの皆さんが私の気持ちを理解してくださって、『凪ちゃんはいつものままで良いから、僕たちに任せて』という言葉をかけてくださり、嬉しかったです。大切な1票でいただいた5位は、大好きな順位です」と感謝の言葉を投げかけ、最後に「レギュラー番組は7本あるんで!」と凪咲節で締めくくった。

波乱の立役者は研究生の隅野和奏、瓶野神音

 14位以内であれば27枚目のシングル表題曲で選抜入りとなるが、15位から24位はアンダーガールズとしてカップリング曲のメンバーに。この表題曲の選抜メンバー入りを巡って明暗がはっきり分かれた。

 15位で名前を呼ばれた、加入11年目の2期生・石田優美はセンターマイクまでたどり着けずに泣き崩れた。2019年にはチームNの副キャプテンをつとめるなどグループの支柱的存在で、中間発表でも11位の選抜圏内だっただけに、会場内にも動揺が広がった。石田は「5年前の初選抜から4年間空いて、『恋なんかNo thank you!』(2020年)で選抜復帰して、それから3作連続で選んでいただきました。今回の選抜にも入りたかったです。でもこれが今の私のポジション。もう一度、選抜復帰を目指していきたい」と声を振り絞った。

 チームMのキャプテン・原かれんも中間まで12位をキープしていたが、最終17位に順位を下げて選抜に入ることができなかった。「正直、どういう顔をして良いのか分からないですけど」とうつむきながら、それでも「(結果を)しっかり受け止めて、これからも折れず、腐らず、前向きにがんばっていきたい。凪咲さんのようにテレビやバラエティにたくさん出て、NMB48のことを多くの方に知ってもらいたい。絶対、てっぺん獲ります」と前向きな思いを口にした。

 波乱を巻き起こしたのが、チームBII研究生たちだ。隅野和奏が10位、瓶野神音が13位で選抜入りの快挙。隅野は「先輩方の背中を学びつつ、歌、ダンス、お喋りをもっと上達できるように頑張りたい」、瓶野は「今回だけの選抜にならないよう、もっともっと上を目指したい」と、さらなる飛躍を誓った。

 NMB48としては初の試みとなった、シングル曲のセンターと選抜メンバーの座をかけた総選挙。イベント中はグループ全員が壇上に上がっていることもあり、名前が呼ばれなかったメンバーの様子も見えてしまうところが非常に残酷でもあった。また、メンバーの名前が呼ばれるたびにファンからはすすり泣く声も聞こえてきた。あらためて総選挙は、喜びと悲しみが大きく、ダメージを負わない者はいないことが分かった。

 それでもグループの現状が可視化され、味わったことがない緊張感がみなぎり、何よりもNMB48ファン以外にグループのことを知ってもらう働きかけとしては非常に強いコンテンツであると思えた。関係者によると翌年以降の開催は未定だそうだが、もし実施されるなら、今回の勢力図がどのように変化するのか注目したい。

関連記事