JUJU、芳醇な歌唱で表現する“ユーミンへのリスペクト” 松任谷正隆・由実プロデュースで全く新しいカバーアルバムに

 JUJUが、3月16日にカバーアルバム『ユーミンをめぐる物語』を発売した。JUJUといえば、これまでにも「Request」シリーズなど、カバーに精力的に取り組んできたシンガーだが、本作のように収録曲すべてがひとりのアーティストの楽曲という試みは初めて。しかも相手は焦がれ続けたユーミンこと松任谷由実である。

 収録曲は全13曲。「卒業写真」「守ってあげたい」「リフレインが叫んでる」など幅広い世代に聴き継がれてきた楽曲から、「街角のペシミスト」「影になって」「TYPHOON」などファンにはたまらない隠れた名曲が選ばれた。加えてユーミン自身がJUJUをイメージして書き下ろした新曲「鍵穴」も提供し、プロデュースにも松任谷正隆・松任谷由実がふたりで参加。世にカバーアルバムは多くあるが、ここまでアーティスト本人が制作の段階から全面協力した作品も稀であろう。奇しくも今年はユーミンのデビュー50周年のメモリアルイヤー。そんな記念すべき年にリリースされる本作は、JUJUにとってはもちろん、ユーミンにとっても特別な1枚となっているに違いない。

 幼い頃からユーミンの楽曲とともに育ったJUJU。18歳で単身ニューヨークに渡り、歌手になるための武者修行に明け暮れるなかでも、ユーミンの楽曲は心の支えになっていたという。2004年にメジャーデビューし、3rdシングル『奇跡を望むなら…』でブレイクを果たした後も、自身のコンサート『ジュジュ苑』などで折に触れ、そのカバーを披露してきた。そんなJUJU曰く、「ユーミンは“人生の教科書”」。2009年に歌番組で共演した後はプライベートでも交流を重ねてきたそうだ。今回のアルバム制作の発端は、「何が起こってもおかしくない世の中、ユーミンへの思いを伝えたい」とJUJU自ら手紙を書いたことがきっかけ。思いを受け取ったユーミンサイドがカバーアルバムのGOサインを出した(※1)。

 デビューからまもなく20年。本場仕込みのジャズやR&Bを土台に、ポップスのフィールドの第一線で歌い続けてきたJUJU。バラードからダンスミュージックまで多彩な楽曲を歌いこなす表現力と、ひたむきに音楽に向き合う姿勢が、今日の彼女を形作ってきた。しかし、そのクリエイティビティの奥底にはいつもユーミンの楽曲が静かに流れていた。『ユーミンをめぐる物語』は、JUJU自身のルーツに改めて立ち還り、音楽へのリスペクトそのものを体現する機会でもあったのではないだろうか。

JUJU カバーアルバム『ユーミンをめぐる物語』ダイジェストムービー

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