【EXILEを紐解く5つの質問】20周年特別企画、メンバー全員リレーインタビュー最終回:橘ケンチ

 2001年9月27日のメジャーデビュー以降、メンバーの勇退や加入を繰り返しながら、音楽シーンの最先端を走り続けているダンス&ボーカルグループ EXILE。2021年9月27日にデビュー20周年のメモリアルイヤーに突入した。

 リアルサウンドでは、EXILEの20年とこれからの活動に向けた「EXILE20周年特集」を展開しており、その特集の一環としてメンバー全員登場のインタビュー企画を掲載中。EXILEの20年の歩みの中で、それぞれがどのように活動し、ファンやシーンと向き合ってきたかを5つの質問を通して紐解いていく。

 毎週更新のリレーインタビュー、最終回となる第14回は、橘ケンチの思いを聞く。(編集部)

■思い入れのあるライブ or 楽曲(シングル、アルバム)

橘ケンチ(以下、橘):個人的に思い入れの強い曲は、2010年のスタジアムツアー『EXILE LIVE TOUR 2010 FANTASY』のオープニングで披露した「VICTORY」ですね。ちょうどその年にサッカーのワールドカップがあって、「VICTORY」は日本代表の皆さんに向けた応援歌として作らせていただいた曲だったんです。そういうご縁でMVにも、岡田武史監督や中村俊輔選手、本田圭佑選手といった方々に出演していただきましたし。僕自身、子どもの頃はサッカー少年だったので、職種が変わったとはいえ、スタジアムというサッカー少年なら誰もが憧れる場所でライブができて、ものすごく嬉しかったことを覚えています。同時期にやったTV番組の収録では、MAKI(DAI)さんと僕とTETSUYAで、スイスにあるサッカー日本代表の合宿所に取材に行かせてもらったりもして。幅の広いお仕事をさせてもらったという意味でも、特別な1曲になっています。

ーースタジアムで『VICTORY』を披露した時、どんなことを感じましたか?

橘:EXILEに加入して約1年半ほどで初めてやらせていただくスタジアムツアーということで、緊張もしていましたけど、ステージ下からリフトアップしていって登場した瞬間のスタジアム中から湧き上がる大歓声は、今でも鮮明に覚えてますね。あの光景とATSUSHIくんが作詞した〈Hallelujah Hallelujah〉という歌詞がピッタリはまって、最高の空間を作り上げていたなと思います。

■EXILEのメンバーとして心掛けてきたこと

橘:ちゃんとすること(笑)。

ーーすごく重たい“ちゃんとする”ですね。

橘:この言葉は本当にいろんな局面で心がけてきました。エンターテインメントを届ける側として、ライブのクオリティを一切妥協しないというのはもちろんですが、社会的にある程度の影響力を持たせてもらうようにもなったので、EXILEのメンバーとして普段から自分の言葉・行動に責任を持つ、ということでもあります。でも、それが窮屈なわけではないし、むしろ究極的に社会に貢献していく存在になりたいという想いが、僕の中にはずっとあって。年々その想いが強くなっているのを感じています。

ーー今のEXILEにおいてはケンチさんが最年長ですが、グループの中での役割や立ち位置についてはどう考えていますか?

橘:僕は個人の活動で日本酒のプロデュースをしたり、いろいろな地域の方と関わったり、LDHにいながらも、LDHが触れるイメージのなかった場所での活動もこれまでにたくさんさせていただきました。外で吸収した新しいモノをLDHに持って帰ってきて、みんなに伝えていくことを繰り返しているので。そう考えると、EXILEやLDHの伝統を守りながらも、積極的に幅を広げていくことが自分の役割の1つなのかなと感じることもあります。

■ファンとの繋がりを感じた瞬間

橘:一番に繋がりを感じるのはライブだと思うんですが、先日『EXILE 20th ANNIVERSARY EXILE LIVE TOUR 2021 “RED PHOENIX”』の初日公演を行った時は、特にそれを実感しましたね。この2年間、オンラインライブやEXILE TRIBEの有観客ライブなど、いろいろな試みをさせていただきましたが、EXILE単独では2年間ライブができていなくて。その間にファンの皆さんの中に芽生えた気持ちとか、ライブに対する想いは、僕らが想像しているよりもかなり複雑だったのではないかと思うんです。僕らもツアー開催を発表したものの、本当にライブに来てくれる方がどれだけいるのか全然わからなかったですし、コロナ禍以前と違って、「ライブに行きたい」というシンプルな想いだけで行ける状況でもないですし……。仕事の関係でライブに来られないとか、家族に止められて行けなくなったとか、いろんな事情で来場を断念した方も多いと思います。だからこそ僕らは、この状況でライブに来るという選択をしてくれた方々に、数年後、コロナ禍が収束した頃に「あの時、すっごい悩んだけど、行ってよかった」と思ってもらえるようなライブをしなくちゃいけないなと、改めて思っています。その一方で、SNSなどで発信する時は、現在ライブに来られない方のことも置いていかないようにと思う気持ちもあって、応援してくださっている皆さんに、感謝とエンターテインメントを届け続けたいと思っています。

ーーちなみに、ケンチさんの普段の紳士的なイメージと、SNSでのキラキラとした絵文字のギャップが可愛らしいと評判のようですね。

橘:あははは。絵文字は普段からよく使うんですけど、文章だけだとどうしても温度感が伝わりにくいじゃないですか。それにSNSもエンターテインメントだと思うので、僕の発信を見た人が晴れやかな気持ちになるように心がけています。キラキラ、大事ですよね(笑)。

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