JO1、バラードから感じる歌唱力の成長ぶり 「Voice(君の声)」から「飛べるから」まで振り返る
中期は、これまでの王道のバラードも引き継ぎつつ、よりメロディの音数が増え、壮大さが伝わってくる楽曲が多くなる。3rdシングル収録の「君のまま」はその代表例で、後半にかけてストリングスが増えていくのが特徴的だ。
こういった曲を歌い上げる上では、楽曲の盛り上がりに負けない、際立った声色が必要になる。ここで取り上げたいのが白岩瑠姫と金城の歌声。初期はラップパートやハーモニーパートを担当していた2人だが、この楽曲ではサビやCメロといった楽曲の重要部分を担っている。特に白岩は、これまでの楽曲では見せていなかった高音を披露し、その甘く切ない歌声に心を打たれるファンも多かった。
また、同じく中期に当たる4thシングル収録「Blooming Again」では、ハスキーな高音をもつ川尻蓮が、河野とアドリブを見せるパートがある。川尻自身も数々のメディアでその練習量について語るほど熱意をこめており、河野の声量に負けないほど力強いハイトーンを聴くことができる。中期は、初期に培った歌唱力を伸ばしつつ、それぞれの歌に対する新しい挑戦が窺える楽曲といってよいだろう。
後期の楽曲は、中期に引き続き壮大さを感じながらも、初期の楽曲のようにメッセージ性や感情に訴えかけてくるバラードが多い。アニメ『BORUTO -ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のエンディングテーマとして起用された「Prologue」や冒頭で紹介した「Dreamer」「飛べるから」はこの後期に当たる。
特に3月4日に配信された「飛べるから」は、ラップパートがなく、それぞれがメインボーカルといってよいほどに歌声が際立っている。フレッシュな歌声が印象的だった豆原一成は、爽やかさの中に一つ大人の階段を登ったような深みのある歌い方を身につけていた。またラップパートでの活躍が多かった鶴房汐恩はサビ前のパートで力強い高音を聴かせ、優しい声色の大平祥生や芯のある歌声の木全翔也もそれぞれの想いが際立つフレーズを歌っている。この楽曲がファンの胸に刺さる所以は、歌唱力の成長に伴って、歌声でストレートに想いを伝える力が身についたことなのだろう。
初期で歌唱力のベースを培い、中期で新しい挑戦をしてきた彼ら。後期の楽曲は、それぞれ力をつけた上で原点に立ち帰り、一皮向けた歌声を披露している。2年という月日の中でこれだけの成長を見せてくれる彼らの歌声が、今後どのように広がっていくのか注目だ。