星野源、リラックスした空間に広がった温かい音楽 初披露曲も交えた『YP Live Streaming “宴会” 鳳凰篇』レポート

 再びギターの弾き語りからスタートした「レコードノイズ」では、暗い照明の中で星野が遠い目をする。やがてサウンドにリバーブがかかり、それぞれの楽器の音色が溶け合うことで、えも言われぬ幻想的な音世界が広がった。まるで夢の中にいるような気分である。音に包まれるとはまさにこのことだろう。

 音に包まれると言えば、昨年リリースした「不思議」のサウンドも秀逸だ。曲前に「DX7(シンセサイザー)の音を響かせるぞ」と言って始めたこの曲は、懐かしいシンセのクリーントーンによって景色ががらりと変化する。水の中を泳ぐような魔法のサウンドと、波に揺られるようなグルーヴを奏でる極上のアンサンブル。生演奏だとより一層優しく、耳に寄り添う感覚がある。演奏後、星野は「ありがとう」とひと言だけ丁寧に囁き、深々とお辞儀していた。

 最後に披露した「Hello Song」は、一つひとつの言葉を大切に発音しているのが伝わった。そのため、画面越しでもリアルのライブに劣らない力強さがある。“ハローソング”でありながら、別れの歌でもあるこの曲。手を振りながら歌う〈笑顔で会いましょう〉の一節が胸に響く。サックスが縦横無尽に動き回り、ピアノとギターの渾身のソロプレイが会場に響き渡ると、演奏陣の熱も最高潮に到達。ラストスパート直前で星野は「よし一緒に歌おう!」と放つと、この日一番の大声で「笑顔で会いましょう!」と歌い上げた。

 その後は宴会パートに移りバンドメンバーたちと談笑。3月に入りようやく春の陽気が感じられるこの頃。音と言葉で世界を変えてくれた一夜だった。

星野源 オフィシャルサイト

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