『東京ラブストーリー』『ロンバケ』から『花男』シリーズ、『恋つづ』まで 平成~令和の恋愛ドラマ主題歌の共通点

『花より男子』シリーズ(2005年/2007年) 「WISH」/「Love so sweet」嵐

嵐 - Love so sweet [Official Music Video]

 急遽“穴埋め”的な企画として制作されたといわれる『花より男子』は、奇跡的なキャスティングと相まって大ヒットとなった。その主題歌は嵐の楽曲。特に満を持して制作された続編『花より男子2(リターンズ)』の「Love so sweet」は嵐を国民的アイドルグループに引き上げたヒット作といえるだろう。このドラマは挿入歌(イメージソング)の大塚愛「プラネタリウム」(第1期)、宇多田ヒカル「Flavor Of Life」(リターンズ)も効果的に使われ、特に『リターンズ』の2曲は、オリコンシングルチャート1位2位を独占した。

『JIN-仁-』(2009年)「逢いたくていま」MISIA

MISIA - 逢いたくていま(Music Video)

 『JIN-仁-』を恋愛ドラマとカテゴライズしていいのかはわからないが、MISIAが歌い上げるこの主題歌「逢いたくていま」の印象でそう記憶されているインパクトがあった。その荘厳な楽曲と歌声は感動的なシーンをさらに盛り上げた。MISIAは言わずと知れた『やまとなでしこ』(2000年)「Everything」のほか、近年では『義母と娘のブルース』(2018年)でも「アイノカタチ」を提供。彼女の歌声は、壮大な物語がよく似合う。

『モテキ』(2010年)「夜明けのBEAT」フジファブリック

フジファブリック 『夜明けのBEAT』

 「テレ東深夜ドラマ」をブランドに引き上げた大根仁監督による『モテキ』は主題歌の「夜明けのBEAT」のみならず、サブタイトルにJ-POPの曲名がつけられ、その楽曲が「モテ曲」として使われていた。その中には『結婚したい男たち』の主題歌だった大江千里「格好悪いふられ方」など過去の恋愛ドラマの主題歌も少なくない。恋愛ドラマとラブソングの関係性をメタ的に描いた作品ともいえるだろう。

『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年)「恋」星野源

星野源 – 恋 (Official Video)

 新しい夫婦の形を描いたドラマ『逃げ恥』のテーマに重なるように、「恋」の多様性を示したのが本作の主題歌・星野源の「恋」だ。エンディングで出演者たちが踊る、いわゆる「恋ダンス」は大きな話題となり、ドラマ自体のヒットの起爆剤になった。星野源はこの曲と本作の主演で国民的ポップスターとしての地位を確立した。他にも星野は『心がポキッとね』(2015年)の「SUN」、『過保護のカホコ』(2017年)の「Family Song」、『半分、青い。』(2018年)の「アイデア」、『着飾る恋には理由があって』(2021年)の「不思議」などドラマの主題に反映させつつも、彼独自のやりたいことも融合させる名手だ。

『恋はつづくよどこまでも』(2020年)恋はつづ「I LOVE... 」Official髭男dism

Official髭男dism - I LOVE...[Official Video]

 まっすぐな恋心が描かれた本作の主題歌は、やはり力強くまっすぐなOfficial髭男dismの楽曲「I LOVE... 」。主演の上白石萌音もこの曲が「七瀬を演じるための道しるべ」だとコメントしているように、七瀬と佐藤健演じる天堂の不器用で真っ直ぐなラブストーリーを見事に象徴していた。

 これらの楽曲に共通するのは、単に楽曲のクオリティが高いだけでなく、「主題歌」の名のとおり、ドラマの「主題」を浮かび上がらせているという点だ。それをよくあらわすように、『101回目のプロポーズ』、『高校教師』、『恋はつづくよどこまでも』のように最終回や終盤の盛り上がり回のサブタイトルに曲名が使われていることも少なくない(『逃げ恥』では「恋」の歌詞から「夫婦を超えてゆけ」が引用されている)。だからこそ相乗効果でドラマも楽曲もヒットする。そして登場人物たちの感情を楽曲がすくい取りシンクロしているから、強く記憶に刻み込まれるのだ。

※1、2:中川右介著『月9  101のラブストーリー』(幻冬舎新書)

【特集】ラブソングが映す時代の変化

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