2nd Digital EP『Daydream』インタビュー

まだ誰も知らないChilli Beans.の内面性 最新EP『Daydream』に刻まれたバンドの原点

「普通の恋愛ソングにも取れるけど、じつはめっちゃ怖い」(Lily)

Lily

ーー確かにいろんな人に届けるっていう意識が出てくると変わってきますからね。その前の段階の自分たちの、より等身大に近い自分たちの姿なのかもしれないですね。そういう自己投影って他の曲ではあまりしてこなかったんじゃないですか?

Maika:確かに、たぶんないよね。自分の中にあるこの感情にフォーカスしてそれを書くとか、何か主人公みたいなものを考えてそれに対して書くみたいなことは多いけど、完全に自分に対して歌うっていうのは初めてでしたね。

ーー〈地上億千万キロ上、細い綱に怯えて〉というのはどういう気持ちだったんですか?

Maika:常に人の目を見てたんですよ。この行動したらあの子に嫌われるかなとか、自分がやばい奴と思われるかなとか、そういうことばっかり考えて、いろいろ手を出せずにいたら、自分のできることがどんどん減っていってしまって。知らない間に結構危険な道を歩いてたというか、自分の価値を下げちゃって、勝手にしんどい気持ちになっっていたりしました。そのときの気持ちが綱渡りをしてるときの気持ちに似てるのかなって思ったんです。一歩でも踏み外してしまったら死んじゃうみたいな。

ーーそこに現れたのがChilli Beans.だったんだ。

Maika:本当にそうです。……(メンバーに)ちょっと、重いと思わないでね。

Moto:思わない、思わない(笑)。

Maika:でも本当にそうでした。

Lily:私もMaikaと同じで、Chilli Beans.組む前にも他のユニットをやったりとか、結構活動をしてはいたんですけど、なんだかんだで全部うまくいかなくて。半ば諦めていた部分もあったけど、それでもやっぱり諦めたくないって思いが勝ってて。

Maika:そのタイミングの結成だったので、ここで頑張れなきゃ後悔するだろうなって思ったんですよね。

ーーそれほどの思いを持ってMaikaさんがChilli Beans.に参加したというのは、MotoさんとLilyさんは知っていたんですか?

Lily:結成してしばらくしてから聞きました。この曲を作ったときは知らなかったかも。

Maika:なんか思いを押し付けるのも申し訳ないなって思っていたんですよ。自分の中での覚悟はあったけど、それを押し付けるのは違うなって。自分ができる範囲でできることを精いっぱい頑張ろうという思いだったんで。

Moto:だから、その話を聞いて、そういう思いだったんだって驚きました。でも、そういう真剣な思いを初めて聞けて、よかったなとも思ったのを覚えてますね。だからこの曲ライブで歌ってると、めっちゃ盛り上がるけど、一瞬気持ちをこめるとグッとくるものがあって。それも新しい感じなんです。自分から出てないからこそ、自分も背中を押されている気分になる。

ーーやっぱりこれ、超重要曲じゃないですか。

Maika:やばい、重いと思われちゃう(笑)。

ーー重いというか、バンドをやるっていうのはそれぐらいのことなんだよっていうことなんだと思います。それがちゃんと滲み出ている曲だし、聴くと今まで以上にチリビのことを近く感じられる曲なんじゃないかなと思います。で、今回もう1曲「Vacance」という曲もあって、これもすごくいい曲なんですよね。

Lily:これは去年のゴールデンウィークぐらいですね。原型はもっと前からあったんですけど、編曲を変えて、今の形になったのがそれぐらい。最初はもっと落ち着いた雰囲気の曲調だったんです。ギターのカッティングとかも入っていなくて。でもDメロのアレンジを新しく作ったらそこから広がって、短時間でできていきました。

ーー元々の着想はどういうところからだったんですか?

Lily:これを作ったときに、私がアイドルにめっちゃハマっていて。そういう人間のマニアな精神とか、没頭しちゃうようなちょっと狂気チックな感情ってあるじゃないですか。そこを深掘りして曲にしたら面白いかなあと思って、歌詞も作っていって。

ーーそうなんだ。その話を聞いた上で〈2人のバカンスは永遠になる〉というフレーズを聴くと、やばい匂いがしてきますね(笑)。

Lily:怖いですよね(笑)。それが狙いでした。普通の恋愛ソングにも取れるけど、じつはめっちゃ怖いみたいな。

Maika:あと、サビに入るところにチーンっていう音が入るんですけど、これは絶対入れたいねって言ってました。そのチーンが鳴った瞬間に推しと一緒にいる世界線に飛べるっていうことなんですけど(笑)。

ーー(笑)。

Lily:MVとかもめっちゃ想像しながら作ってましたね。歌詞はMotoに結構助けてもらいました。

Moto:うん、電話でやりとりしたの覚えてる。

Lily:この〈まつ毛が少し潤んだ〉っていうところ、すごく好きなんですけど、Motoがワードを出してくれて。

ーーLilyさん、アイドルが好きなんですか。

Lily:はい、今も好きですね。現実とかけ離れてる世界っていうのがもともと好きだったので。アイドルも、なんかテーマパークみたいな感じというか、そこにいればずっと幸せじゃんみたいな。そういうのが好きなんですよね。バンドでもそういう雰囲気を出したいなと思って、その気持ちを込めつつ作りましたね。

ーーそう考えると、最後のサビでスピードが上がっていくのも妄想が加速していく感じで面白いですね。

Lily:そうそう。やばいですよね。妄想大爆発みたいな。

ーーでも、そういう思い込みと執着みたいなエネルギーが込められている曲なんですね。それがあるのかもしれないですけど、個人的に聴いてこれはパンクな曲だなと思ったんですよね。

Maika:おお。

ーーそれがよく出ているのがギターの音で。リフがかっこいいんですけど、意外ときれいな音じゃないんですよね。全体の曲調からするとクリーンでもいいのかなと思うんだけど。

Lily:はい。そこがひずんでることでちょっとジリジリした感じが出せるかなって思ってやっていました。

ーーそうですよね。これもまた、「Tremolo」とは違う意味でエモーショナルな部分が出ている曲なんじゃないかと思います。そういう2曲を収録したEPに『Daydream』というタイトルをつけたのはどうして?

Maika:この4曲を入れるって決まって4曲の共通点を考えたら、全部どことなくちょっと夢見心地だなって思ったんです。完全に夢の世界にいるわけではなくて、現実と繋がる部分もあるけど、自分の中でしか見えてないことも歌っていて、でもそれが自分にとってはまるで現実みたいな感じがしたり……そのどっちなんだろうっていうモヤモヤ感が全部に共通してるなって思ったときに、「白昼夢」っていう言葉が近いんじゃないかなって。

ーーなるほど。最初のEPが『d a n c i n g  a l o n e』で、今回が『Daydream』じゃないですか。「DANCING」に「ALONE」がつくところとか、「Dream」ではなく「Daydream」だっていうところに、チリビがなぜバンドをやっているのか、この3人にとって音楽がどういうものなのかっていうヒントがある気がしますね。チリビの闇、というか(笑)。闇っていう言葉はあれですけど。

Maika:あ、でもそれは嬉しいです。

Lily:なんかわかんないけど、嬉しい。

ーー嬉しい?

Maika:なんか、底抜けに明るいやつらだと思われることがあるんですよ。楽しそうだね、とか。それはそれでいいんですが、その裏にある自分たちの思いだったりとか、考えの黒さが……。

ーー「黒さ」(笑)。

Maika:ちょっとずつ漏れてる感じなのかもしれない。

Lily:そういうところが面白いですよね。人間の見方って人によって違うから。人間の本性じゃないけど、隠してるところみたいなのを出していくのに楽しさを感じる人なので、自分もいいなって思います。

Chilli Beans.『Daydream』

■リリース情報
2nd Digital EP『Daydream』
3月2日(水)Release.

1. Tremolo
2. Vacance
3. アンドロン
4. シェキララ - Acoustic Version

▽HP
https://chilli-beans.amebaownd.com/
▽Instagram
https://www.instagram.com/chillibeansmusic/
▽Twitter
https://twitter.com/chillibeans_mc
▽TikTok
https://www.tiktok.com/@chillibeans.official

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<締切:2022年3月16日(水)>

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