バラエティ、俳優、音楽……池田エライザ、多種多様なシーンにフィットできる要因は?
園子温作品でみせた大胆さと昭和歌謡へのリスペクト
池田が熱烈な支持を集めるようになったターニングポイントはいくつかある。
ひとつは、出演映画『みんな!エスパーだよ!』(2015年)だ。鬼才・園子温監督のもと、ヤンキーの高校生に扮した池田。謎の力で体が火照ってしまう演技は大きな話題となった。そのほかにもアクションシーン、思春期の若者らしい不器用さなど、映画的な要素の多くを演じきってみせた。この映画では、セクシーさ、ヤンキー感、コミカルさなど池田の様々な表情を楽しむことができる。
もうひとつは2020年8月、『FNS歌謡祭 夏』(フジテレビ系)での地上波初歌唱を挙げたい。同番組で中島みゆき「時代」をギターで弾き語った池田だが、やわらかい歌声と渋い空気感をまとい、その歌唱の模様は好評を集めた。
そして2018年4月から2021年3月までMCをつとめていた音楽番組『The Covers』(NHK BSプレミアム)でも、久保田早紀「異邦人」(1979年)、青江三奈「恍惚のブルース」(1966年)、松田聖子「SWEET MEMORIES」(1983年)などを歌唱していたことから、彼女の音楽的なバックグラウンドには昭和歌謡が根付いていることがわかる。ちなみに米津玄師「fogbound」(2017年)にゲスト参加するなど、現在のポップミュージックとの交わりも強い。しかし、彼女は決して流行りには流されず、あくまで自分の好きなものを貫いている。かつての時代へのオマージュが、彼女の独自のスタイルを築いているのかもしれない。
池田はこれから、どんな場所で自らを表現していくのか。映画監督としても2作目以降が期待されており、また小説など文筆業の本格化も待ち望まれている。ひとつの場所に留まることなく、今後も活躍していくだろう。
※1:https://www.banger.jp/movie/48700/