GLAYはエンターテインメントのあかりを灯し続ける 『FREEDOM ONLY』ツアーで刻んだ忘れられない光景

GLAYはエンタメのあかりを灯し続ける

 約2年の時間を振り返り「バンドをやっててよかった」「GLAYが僕にとっての救いでした」と語ったTERU。そして「あなたたちがいてくれたことがGLAYの救いでした」と。そうして、透き通るようなスキャットで始まる「青春は残酷だ」。いつまでも「青」が似合うバンドだ。〈発車のベル〉というフレーズ、ギターフレーズもほろ苦い。「祝祭」では、のびやかなベースが包み込むように、まさにFREEDOMに歌う。「さぁともに夢見て行こうぜ!」。TERUが叫び、ラストに拳を掲げた。

 2月2日に誕生日を迎えたばかりのHISASHIは、今年以降、年齢を「概念」にしたいという。誕生日を祝うのは「今年が最後かな」と呟くと、TAKUROが「だめだよ、一生やるよ」と即座に却下。「一生」をすでに約束しているバンドが、当たり前のように交わす言葉にグッとくる。そんなTAKUROは最近、「俺、ピンチになったらJIROに相談するんだ」と実感したことを報告。「リーダーのピンチを救った男、JIROちゃん」はこの日、ずっと笑顔だった。さらに、「(『FREEDOM ONLY』の)ベースがナーバスすぎて腹立った!」とぼやきながらも、「来れなかった人にもよろしく伝えてね」と、友達に伝言を頼むように笑った。

TERU(写真=田辺佳子)
(写真=田辺佳子)

 生きること、夢見ることとはなにか。ふいに見失いそうなこの時代に、数ある名曲のなかから届けた「生きてく強さ」「BEAUTIFUL DREAMER」。GLAYはいつの時代も真理を歌っている。だからこそ、ふとしたフレーズが今の境遇にも重なる。  「どんなに辛い時も夢見ていきましょう」「ずっとずっとずっと一緒に夢見ていこうぜ!」と、自らも鼓舞するようにTERUが叫んだ。

 ラストは「FRIED GREEN TOMATOES」。GLAYサウンドを象徴するTAKUROのアコースティックギターに、胸が震える。20年以上前に原曲が生まれ、『FREEDOM ONLY』でようやく世に出た大切なこの曲でライブをしめくくった。

 「みなさんの顔を見て安心した」「一生この日を忘れないと思います」。数々の大舞台に立ってきた彼らにとっても、今回の開催は大きな決断だったのだと知る。「また会う日までお元気で。行ってきます!」と去ったあと、「桜めぐり」に乗せてエンドロールが流れる。映し出されるステージ写真と、和やかなオフショット。どれを見ても「ああ、GLAYだな」と感じる。こんな時代だからなのか、いつもよりさらに尊く、愛おしく思った。

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