鈴木愛理×杏沙子、「見る目ないなぁ」がつないだ二人の縁 歌と向き合う姿勢から恋愛観まで赤裸々に語り合う
鈴木愛理と杏沙子、なかなか共感者のいない意外な共通点
――お互いの曲を聴いたり活動を見ている中で、共通していると感じる部分は以前からあったんですか?
鈴木:杏沙子さんがステイホーム期間中にされていたライブの映像を見させてもらったんですけど、画面越しに向かってパワーをくれる感じがあって。それまで私は陽の自分を出すことに対して迷っていたんです。あまり陽の部分を出しすぎても共感されないのかなとか、悩んでいる方に共感してもらえなくなってしまうんじゃないかなとか。そのときに杏沙子さんのライブ映像を見て、自分っぽくいこうって思わせてくれたんですよね。そのあたりが似ているというか、背中を押してもらったなという感じはありました。
杏沙子:配信ライブはお客さんが見えないから、自分ができることは全力で楽しむことだなって思っていて。有観客だと来てくださる方に元気になって帰ってほしいなって思うしキャッチボールしたいと思っているので発信している感じがするんですけど、配信は楽しもうみたいな気持ちでやっていました。エンターテインメントって本人が楽しむことが大事だなと思うので、届いてたんだって思ってすごく嬉しいです。
――杏沙子さんから見た鈴木さんとの共通点はありますか?
杏沙子:今すごく嬉しいことを言ってくださったのにって感じなんですけど、自分がコンプレックスに思っていることがもしかしたら愛理さんもそうだったりするのかなって思うものがあって。そうじゃなかったらごめんなさいなんですけど。
鈴木:全然大丈夫です! なんだろう。
杏沙子:私、昔から真面目すぎるタイプで、優等生でいようという感覚がずっとあったんですよ。でもその優等生の自分がすごく嫌いで。
鈴木:ああ……一緒ですね、多分。私も優等生って言われるのが嫌でした。
杏沙子:そうなんですよ! 優等生って言われるのが本当に嫌で。コンプレックスなんだけど、おバカになりきれない自分もいますし。一生懸命だからこそ自分にはなにもないんじゃないかっていう悩みをよく持つんですけど、愛理さんがライブのMCでそういうことを考えていたみたいなことをお話されてたのを聞いて、一緒かもしれないって思いました。
鈴木:初めての共感者かもしれないです。この感覚の話でわかりますって人、意外と周りにいなくて。
杏沙子:嬉しい。一緒でした(笑)。
鈴木:ちょっと悪ぶりたくて冒険しようとしても、それって嘘の自分なんですよね。だから「見る目ないなぁ」とか、失恋の曲でどっぷりハマれる感覚が気持ちよかったりします。
杏沙子:そうそう。周りが見えなくなるほどハマるっていう感覚が普段生きていてもあまりなくて、自分だけになれるものが歌しかない。だから歌が好きなんだなと思いますね。
鈴木:周りを見ちゃいますよね。周りがどう思ってるかなとか、なにしてるかなとか。
杏沙子:めっちゃ見ちゃうし気を遣ってしまう。それで家で疲れちゃうみたいなことがすごく多いので、ライブのときだけ、歌を歌っているときだけが自分でいられるなっていうのはあります。
鈴木:一緒です! だからなんですね、こんなに歌が大事なのって。なんで自分が歌が大事なのかって、自分にフォーカスをあてて考えたことがなかったんですよ。人にメッセージを伝える場がここしかないからって思ってたんですけど、自分のためでもあるのかもしれない。
杏沙子:みんなのために歌うって気持ちももちろんあるけど、でも結局は自分が楽しくないとやっていないわけなので。エゴっぽい聞こえ方をしちゃうかもしれないですけど、でもそうだなって思います。
鈴木:ちょっとわがままになれるみたいな?
杏沙子:そうですね。普段人と会話したり生活していると、本当の自分じゃない着ぐるみを着ていると感じることが多いんですけど、ライブではそれを全部脱げるみたいな。「こうです、どうも!」っていう感じです。本質的に優等生な部分ももちろんあると思うんですけど、いまいち脱ぎきれないものがライブでは脱げるっていう感覚ですかね。
鈴木:その話で言うと、私は最近、普段もまあまあ脱げるようになったんですよ。なので最近はどこでもこんな感じで、ちょっと楽です。ソロになってからもがく時間も多かったんですけど、本当にここ1年くらい、気を遣ったり考えている自分が意外と好きなことに気付いて。「これも私だな」みたいな。人が喜んでくれることをしたいっていうのが前提にあるのが自分だから、これでいいんだって。杏沙子さんみたいな感覚は現役のアイドルをやっているときは強くあって、ステージにいても着ぐるみを全て脱ぐことはできていなかったんですけど、ソロになって脱げるようになったら、もうちょっと服着たほうがいいんじゃないかなっていうくらいになったんです(笑)。なので杏沙子さんのプライベートから脱がせてあげたくなりました。って、言い方ちょっと違いますよね(笑)! でもなんかメリメリしたいな~って。
杏沙子:それは語弊がありますね(笑)。だからか今日、楽屋で初めてプライベートの愛理さんを見て、さっきも言いましたけど第一印象がおちゃらけている感じだったから、「あ、優等生じゃないのかもしれない」って思っていたんです。でもそういう姿もすごくいいなって思いました。はつらつとしていてふざけることができる方は憧れっていう意味もあって好きなんですけど。
鈴木:夜の公園とか一緒に行きましょうよ。よく行くんですよ。温かいものだけ持って、空を見て「ああ~」って。散歩するのとかも好きで。
杏沙子:散歩、私も好きです。
鈴木:ね。これからきっと、メリメリと脱がせられる気がしています(笑)。
――では最後に、今後の展望を聞かせてください。
鈴木:具体的な話で言うと、2020年の4月に予定していた横浜アリーナでのライブがなくなったときの絶望感が忘れられなくて。あのときやろうと思ってたことはちゃんとやりたいなって思っています。あれをやらずに終えたら自分の中に後悔が残る気がするので、絶対チャレンジしたいですね。あとは自分の中で勝手になんですけど、女の子の第一輝き期って17~19歳だと思っていたんですよ。で、第二輝き期が28~30歳に来ると思っているんです。今年28歳になるので、そこに差し掛かるぞっていう気持ちがすごくあるんですよね。そこまでどう生きてきたのかが表に出てくる時期だと思っていて、それがちょうど芸能生活20周年のタイミングで来るので、どんなオーラを自分が出すのかが楽しみです。なにも出なかったら悲しいんですけどね(笑)。
杏沙子:私は3月にミニアルバムを出すんですけど、そのアルバムで挑戦したことが、まさに「脱ぐ」っていうことだったんですね。自分を脱いで最後に残ったものってなんだろうくらいの気持ちで作った曲ばかりを入れたアルバムで。引き続きもっと脱げるなっていう気持ちがあって、プライベートでも自分が心にまとっていたものが脱げるようになったら曲もきっと変わっていくだろうなと思っているので、かっこつけないとか、私は私だからこれでいいじゃん、という感覚でいたいなと思います。
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